米大統領選候補・トランプ氏「超過激演説」の原点はプロレスのリング (2/2ページ)
当時全米でささやかれていた、2人の億万長者の“ヅラ疑惑”を巧みに興行へと利用したこの試合こそ、現在の“トランプ旋風”の源流というわけである。
8万人を超える超満員の観衆の前で行われた世紀の一戦は、ビンス氏の代理レスラー・故ウマガとトランプ氏サイドのボビー・ラシュリーがリング上で対戦。12分経過時、リングサイドからウマガにハッパをかけるビンス氏に対し、トランプ氏がラリアットを食らわせ、馬乗りになってパンチまで繰り出したことで会場は一気にヒートアップした。
最後はリング上でラシュリーがウマガをフォールし、トランプ氏の勝利が確定。試合後の混乱に乗じてビンス氏は逃げようとしたが、あえなく捕まり、理髪店仕様のイスに抑えつけられて「頼むからやめてくれ!」と泣き叫ぶも、
「サヨナラ! ヘアー!」
と日本語で高笑いするトランプ氏にバリカンを入れられ、シェービングクリームとT字カミソリでツルッパゲにされてしまった。
のちにビンス氏は徐々に髪の毛が生えてきており、ヅラ疑惑を払拭。一方のトランプ氏は昨年、「アイスバケツチャレンジ」で頭から水をかぶって髪の毛は落ちなかったのだが、完全に否定できたかどうかは‥‥。
いずれにせよ、徹底したショーマンスタイルで支持を集めるトランプ氏が大統領になれば、日米関係も様変わりしてしまうだろう。
三又は言う。
「現在の社会がコレやっちゃダメ、アレ言っちゃダメの、規制、規制の世の中で、どことなく堅苦しいとストレスを感じているからこそ、ポンと出てきたトランプの一見下品な言葉が、大衆の心に響いたのだと思います。歴史を見ても、混沌とした時代の勝者はいつも“下品”なんです。大衆って、クレイジーな人を見るのが大好き。この際、自身の頭髪についてつまびらかにしたりなんかしたら、もう笑うしかないでしょう」
日米交渉がプロレスで行われる日も来るか──。