日本版『三国志』に中国人が激怒?”文化的侵略”と騒動になった舞台ウラ (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■中国の若者たちは三国志パロディに寛容

 現地のニュースサイトや掲示板などを確認してみると、日本の三国志アニメなどを批判する報道に対して擁護論が多数。「自分は日本の三国志ゲーム大好きだよ」「一騎当千も恋姫無双も面白い」「だって国産のアニメはクソばかりだし……」といった意見が上がっていた。

 さらに、三国志の武将を美少女化することについても「日本は自国の戦国武将も萌え美少女にしてるよ」「恋姫無双のロリ諸葛亮の大ファンです」「制作者が変態なだけで中国に悪意があるわけじゃない」と理解を示す声がある。批判的な意見もあることはあるのだが、かなり少数派のように感じられた。

「中国では古典の改編が許されない風潮があり、原典から逸脱したパロディ作品は極端に少ない。しかし、その風潮にこだわっているのは中高年世代だけ。日本のゲームやアニメに夢中な若者世代は抵抗なくパロディ作品に触れている。だからこそ現地メディアは憤っているのでしょうが、せっかく素晴らしい名作古典のコンテンツがあるのに自由度が低いために若者の支持を得られないという状況になっています」(前同)

 前述の「サーチナ」においても、若者の三国志観の崩壊を危惧するのであれば「原著に忠実で、かつ彼らの興味を引くような文化コンテンツを自前で作り上げるべき」と断じられていた。だが今の若者世代が社会の中心になれば風潮が変わっていく可能性は十分にあり、今年3月に香港の映画会社が「真・三國無双」の実写映画化を発表するなど変化の兆しも見えてきている。

 なかなか相互理解が進まないといわれている日本と中国だが、アニメやゲームを媒介に日中友好の土台が徐々に築かれているのかもしれない。

文・佐藤勇馬(さとう・ゆうま)
※個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にライターとしてスカウトされて以来、ネットや携帯電話の問題を中心に芸能、事件、サブカル、マンガ、プロレス、カルト宗教など幅広い分野で記事を執筆中。著書に「ケータイ廃人」(データハウス)「新潟あるある」(TOブックス)など多数。
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