かわいらしい姿とは裏腹に……うさぎの「ごちそう」は自分のフンって本当?

動物によって食べ物の好みが違うのは当然ですが、かわいらしい姿とは裏腹に「ウンチ」が大好物な動物がいるのはご存じでしょうか? 学校や牧場でも人気者のウサギは、ときどき盲腸便(もうちょうべん)と呼ばれる「ぶどう」のようなウンチをし、おしりに口をくっつけてそのままリサイクル……いただきますなのかごちそうさまなのかわからない食事をしているのです。コアラの赤ちゃんの離乳食はママのウンチで、虐待にしかみえない光景も、じつは腸内細菌を与えるための重要なイベント。ウンチが栄養補給に欠かせない動物も存在するのです。
■「ごちそうさま」を「いただきます」するウサギ
ヒトの大便は「食べ物のカス」と思われがちですが、じつは大半が水分で、標準的なものは80%前後、便秘の固い便でも50~60%を占めています。残りの20%のおおよその内訳は、
・食べ物のカス……6~7%
・はがれた腸粘膜……6~7%
・腸内細菌……6~8%
で、健康に密接な腸内細菌も大量に排出されています。1kgの大便にはおよそ1,000兆個の菌がいるといわれていますから、腸内は菌のパラダイスとも表現できます。
腸内細菌は、何のためにいるのでしょうか? 大きく分けて、
・食物を分解する
・免疫力を生み出す
の2種類があり、腸内細菌なしでは生きてゆけない、と言っても過言ではありません。これはほかの動物も同じで、なかでも草食動物にとっては深刻な話題。主食である植物の「せんい」は自力で分解できない成分が多いため、腸内細菌に助けてもらわないと生きていられないのです。
代表例はウサギで、固いコロコロのウンチのイメージが定着していますが、ときどき「ぶどう」のような柔らかい盲腸便(もうちょうべん)をし、こともあろうか、おしりから出たものをそのまま「いただきます」… なんて趣味! と思うかもしれませんが、盲腸便はタンパク質やビタミンBが多く含まれた「ごちそう」。腸内細菌によって作り出されただいじな栄養源なのです。
■ママのウンチが「離乳食」
コアラの赤ちゃんもウンチが大好き。かわいい顔をしながら、ママのウンチを食べて育つ動物なのです。
コアラの主食がユーカリなのはご存じの通りですが、ユーカリには有毒なタンニンが含まれているため、これを分解する酵素・タンナーゼが必要です。ところがコアラは自力でタンナーゼを作れないため、腸内細菌に作ってもらいながら暮らしています。生まれたばかりの赤ちゃんコアラの腸にはこの細菌がいないので、離乳期を迎えるころになるとパップと呼ばれるママのウンチを「いただきます」して補給… こうしてユーカリを食べても大丈夫なからだになってゆくのです。
健康なひとの腸内細菌を移植して病気を治す方法も研究されているほどですから、腸内細菌が健康を左右する重要な存在であることは確かです。とはいえ、かわいいウサちゃんがウンチをリサイクルしていることや、赤ちゃんコアラの離乳食がウンチと聞いたらちびっ子はさぞかしショックを受けるでしょうから、おとなになるまでは秘密にしておきましょう。
■まとめ
・ヒトの便の70~80%は水分、消化しきれなかった食べ物は7~8%しかない
・大便は腸内細菌の宝庫。1kgには約1,000兆個が含まれている
・ウサギはときどき盲腸便をし、これを食べて栄養補給している
・コアラの赤ちゃんの離乳食は、パップと呼ばれる母コアラのウンチ
(関口 寿/ガリレオワークス)