秋津壽男“どっち?”の健康学「熊本地震でエコノミー症候群での死者が発生 車中泊のリスクを知り睡眠薬は飲まないこと」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

車中泊生活中にこういった症状に気づいたら、まずはエコノミークラス症候群を疑うべきでしょう。

 車中泊での問題点は、寝返りなど、就寝中に自由に動けないことにあります。体育館で寝ていた場合、寝返りを打てないほどの密度で人が押し込められる事態は考えにくいですから、避難所での生活のほうがリスクは低いと言えるでしょう。家族全員が雑魚寝して寝返りできない車中よりも1人でワンボックスカーで広いスペースを占有できるほうが、危険性は少ないと言えるでしょう。

 またエコノミークラス症候群になりやすいタイプというのも存在しています。中高年、肥満体型、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を持つ人、血液が固まりやすい人、格闘技やサッカーなど激しいスポーツをしている人、悪性腫瘍のある人などが当てはまります。

 予防法としては、長時間同じ姿勢を取らないのはもちろん、定期的に水分補給をしたり、トイレに行ったり、屈伸運動をすることで発症する危険は回避できます。血行が悪くなるので足は組まず、飛行機に乗る際はなるべく通路側の席を確保すること。また、エコノミークラス症候群になっても気づかないことがありますので、避難生活中は睡眠薬は飲まないようにしてください。いずれにせよ、気分が悪くなったら早めに医者にかかるのが肝心です。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「熊本地震でエコノミー症候群での死者が発生 車中泊のリスクを知り睡眠薬は飲まないこと」」のページです。デイリーニュースオンラインは、エコノミー症候群週刊アサヒ芸能 2016年 5/19号熊本地震“どっち?”の健康学秋津壽男カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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