【立教理科工房の実験シリーズ 第1弾】超簡単に「陽炎」を発生させる方法【学生記者】

学生の窓口

こんにちは。小中学校や科学館などで科学実験を行っている、立教理科工房のShotaroです。
最近、すごく暑くなってきましたね。大きい道路に行くと、アスファルトや車のボンネットから、もやもやと陽炎(かげろう)が立ち上っています。
この陽炎、実は、自宅や居酒屋で簡単に作ることができるって知っていますか? しかも、部屋の中を暑くせずに、クーラーの利いた部屋で再現できます。飲み会の小ネタとして、陽炎を作って遊んでみましょう!

◆今回のテーマ

何だかもやもやする……? 水の中で陽炎(かげろう)を作ってみよう(シュリーレン現象)

用意するもの

1. 水を入れたコップ(透明で、中身が見やすいもの)
2. 砂糖か塩(今回はスティックシュガーを使います)
3. 適当な紙(今回は箸袋を使います)
4. つまようじ

◆実験してみよう

1. 用意した紙を、3cm×3cmくらいの大きさに切ります


2. つまようじを使って、紙の真ん中に穴を開けます


3. この後、紙の上に砂糖を乗せるので、紙のふちを折ったりして、砂糖がこぼれないようにします


4. 水の上に、紙を浮かべます

5. 紙の穴のあたりに、砂糖を静かに盛ります。このとき、砂糖が水を吸収して、濡れたようになるはずです

6. コップの横から、穴のあたりを観察しましょう。陽炎みたいに、穴の周りがもやもやしています!もやもやした液は、コップの底に沈んでいきます。



◆どうしてもやもやするの?

この「もやもや」の正体は、砂糖水です。
水に限らず、身の周りにあるすべてのものには、斜めに入ってきた光の進路を曲げる働きがあります(※1)。これは「屈折」と呼ばれる現象です。そして、光の進路がどのくらい曲げられるかを表した値が「屈折率」で、この値が大きいほど、光の進路を大きい角度で曲げます。

水に砂糖を溶かすと、屈折率が変わります(※2)。実験では、水と砂糖をかき混ぜず、自然に溶かしていくことで、砂糖水の濃度にムラができるようにしました。

砂糖水の濃度が低いところでは、屈折率が低めになり、逆に濃度が高いところでは、屈折率が高めになります。そのため、ムラがあるところで光の進路がぐにゃっと曲げられて、もやもやしたように見えるわけです。

ここでは、砂糖水を使って実験しましたが、空気中でも同じ現象が起こります。

テーマにもある「陽炎(かげろう)」は、その例のひとつです。これは、空気が部分的に温められる(または冷やされる)ことで、空気の密度に違いが生じ、それが屈折率の差になって、光の進路がいろいろな向きに曲げられることで起こります。これらのように、物質の密度や濃度にムラがあることでもやが生じる現象は、「シュリーレン現象」と呼ばれています。

※1 氷やプラスチックみたいに、透明なものは分かりやすいですね。では、紙や金属みたいに、透明でないものは?実は、これらのものにも、屈折率を定義することができます。ちょっと難しいので、詳しいことは、また別の機会にお話ししましょう。

※2 これは、水に砂糖を溶かしたことで、水溶液の電気的な性質が変化したためです。光は、電気と磁気の働きで、空間を伝わっていきます。そのため、水と砂糖水では、光の伝わり方がすこし異なります。これが、屈折率の違いになるのです。

〈大学生のまずこれステップ〉
1透明なコップに、水を注ぎます
2塩や砂糖を、かきまぜずに、水面でゆっくり溶かしていきます
3コップの中を、横から観察してみましょう!

文●Shotaro@立教理科工房

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