深夜に起きた突然の破水…!「41歳高齢初産」その奇跡の結末とは?<連載最終回> (2/3ページ)
「りえ、頑張れ!」
妻の顔近くに寄り、必死に励ます。
「りえ、頑張れ!頑張れ!」
妻は目をかっと見開き、こう叫んだ。
「酒臭いっっっ!!!」
■3年に及ぶ不妊治療の末、奇跡の子を出産した妻へ
男には想像もつかない痛みと格闘し、顔を歪ませること6時間、遂に妻の子宮口が10cmまで開いた。妻は陣痛室から分娩室に移動となった。
「さ、お父さんも!」
「へっ!?」
看護師の、さも当然といった言葉に思い出す。
「いや別にまだ、立ち会い出産に同意したわけじゃないんですけど!」
心の中で叫ぶが、「さあ、さあ」と、まるでバンジージャンプを躊躇する客に焦れた係員のように、看護師が僕の背中をドンと押した。
意を決し分娩室になだれ込むと、すでに妻がいきんでいる姿が目に飛び込んだ。
6時間もの陣痛で、すでに体力も使い果たしているだろう。それでも155cmの小さな体に残された、最後の数滴。その数滴の体力を振り絞り、彼女は戦っていた。母親にならんと必死に。
居酒屋で「本格的に不妊治療に挑戦しよう」という僕の提案に涙し、喜んでくれた妻。
あれから3年、奇跡の子を宿した彼女は、その集大成を迎えようとしていた。気がつけば僕は目を真っ赤に腫らしながら、妻の手を握りしめ、絶叫していた。
「りえ!頑張れ!」
「もう最後だ!!負けるな!!」
「頑張れ!!頑張れ!!!」
出産まで、何分かかるのか、何時間かかるのか。皆目見当もつかないなか、必死に声をかけた。すると、その瞬間は突然訪れた。
おぎゃー
おぎゃー
おぎゃー
分娩室に入って、まだ15分。グラダンだって、できるまで20分はかかるわ!
「元気な男の子ですよー!」
看護師さんの声が部屋にこだまする。こうしてグラ太が誕生した。
「よく頑張ったね、ありがとう、ありがとう」
僕は溢れる涙もぬぐわずに、こう言った。