【プロ野球】開幕からのスタメンを検証!見えてきた阪神首脳陣の苦悩とは? (2/2ページ)
■クリーンアップにつなげるために1・2番がすべきこと
19パターンもの1・2番のスタメンが組まれたなかでも、今年の阪神は2番打者に送りバントをさせないという、徹底したチーム戦略があることを理解しておく必要がある。
いわゆる「攻撃的2番」でここまでを戦い抜いてきたのだ。
大和が打撃の調子が良かった4月19日以降、5月18日までの12試合においては、大和でさえも序盤に送りバントをさせることはなかった。
送りバントをしないということは、得点圏に確実に走者を進められないということでもあり、出塁した1番が盗塁で二塁に進むか、2番がヒット、もしくは進塁打を打たなければならない。
6月1日時点でチーム盗塁数が28(リーグ3位)と、超変革の1つの課題でもあった「走る」ことが必ずしも機能していないことが、得点力不足の原因といえなくもない。“送らない”“走らない”では1・2番が機能して、クリーンアップにつなげることができなくなるからだ。
■育成しながら勝つことの難しさ
阪神の「超変革」も未だ道半ばであることは言うまでもない。理想的な攻撃の布陣を組み、チーム戦略を徹底し、勝利を収める。
ここまで金本監督が理想とする勝利の方程式でチームが勝つケースは少ない。チームの勝利に執着すれば、育成がおろそかになる。反対に、育成を主眼に置けば、どうしても勝ち数は減少する。
超変革の象徴としてデビューした横田を、将来の4番としてファームでじっくり育成するか、2番として足を生かして再び1軍でプレーさせるか。こんなところにも、今後戦う上での課題が垣間見える。
育成しながら勝つ。
一番難しい課題の中で、困惑する首脳陣が今後どうやって1・2番を固定していくか注目したい。
- まろ麻呂
- 企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。