世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第177回 日本の消費の真実 (2/3ページ)
そもそも政府は経世済民を目的としたNPOであり、人間ではないため、消費はできない。
というわけで、個人消費に「政府支払い分の国民の消費」である政府最終消費支出を加えると、日本の消費総額は読者のイメージに反して増えているのだ。最大の理由は、高齢化により政府がサービス費用を負担する医療費、介護費が拡大しているためだ。
わが国には、
「人口が減少し、消費が減る以上、需要が拡大するなどあり得ない」
などと、単純な“間違い”を信じ込んでいる国民が少なくないという話なのである。
事実として、'05年に総人口がピークを打った後も、日本の消費総額は'15年度までにおよそ10兆円増えている。図では、'14年度、'15年度の消費総額が対前年比で落ち込んでいるが、これはまさに消費税増税により個人消費が激減してしまったためだ。実は、'14年度、'15年度ですら、政府最終消費支出は増えている。
さらに、そもそも「需要」とは、消費のみではない。国内の総需要は、消費総額と「投資総額」「純輸出」の合計になる。消費総額が横ばいだったとしても、民間住宅、民間企業設備、公的固定資本形成という三つの投資の総計が拡大すれば、国内の需要は膨らむ。
'98年以降の日本のGDPは全く増えなくなってしまったが、これは消費総額が減っているためではなく、主に投資総額が激減したためなのだ。橋本政権期には140兆円を上回っていた投資総額が、一時は100兆円を割り込む水準にまで落ち込んだ。対GDP比で約10%もの投資縮小に見舞われたのだ。これで日本経済が成長できたら、まさしく奇跡である。
そして現実には奇跡は起きず、日本のGDPは'98年以降「横ばい、もしくはマイナス」という状況が続いた。日本経済を成長路線に復帰させるには、最大の需要項目である個人消費と投資、特に減りに減った公共投資(≒公的固定資本形成)を回復させるしかない。
本稿執筆時点で、読売新聞から「同日選見送りの公算…首相、消費税増税延期へ」(5月25日、朝刊)という報道がなされている。また、26日から始まる伊勢志摩サミットにおいて、主要国が協調的な財政拡大路線で合意すると見込まれている。