「3時間睡眠でも平気説」は本当?寝不足に関する都市伝説を検証
バリバリ仕事をこなしたいと思ってはいても、十分な睡眠時間を確保できず、あるいは悩みが多くて眠れず、ボーッとしたような状態から抜け出せない。かといって寝不足から脱却できるわけでもなく、打開策が見つからない。
そんな人は決して少なくないはず。
でも、『スタンフォード大学で学んだ睡眠医学の専門家が教える 寝不足でも結果を出す全技法』(西多昌規著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)を読んでみれば、少し気持ちが楽になるかもしれません。
著者は、スタンフォード大学医学部睡眠・生体リズム研究所客員講師。そんな実績を軸に、「寝不足を解消しよう」という角度からではなく、「寝不足の状態でも結果を出す」ことを考えたユニークな書籍なのです。
ところで睡眠不足解消に悩む過程で私たちを惑わずものに、寝不足に関する数々の都市伝説があります。果たしてそれらは信じるに値するのでしょうか?
そこを明らかにすべく、きょうは本書のProgram5「本当に知っておくべきことって? 寝不足の『都市伝説』を科学的に検証」に注目してみたいと思います。
■3時間睡眠でもなんとかなる?
ある調査結果によると、実際に短い睡眠時間でも元気に活躍できる「ショートスリーパー」(厳密には6時間以下の睡眠時間でも日中に問題なく生活できる人)は、世界に5~10%は存在するといわれているのだとか。
しかし、これが3時間睡眠という極端な短眠となると、割合はがくっと減るのだそうです。
そもそも人間に必要な睡眠時間は、(中心値に多少の違いはありますが)7~8時間を中心に分布しているもの。ただし3時間睡眠でも平気な人は、このなかのごくわずかなのだといいます。
正確な割合まで示したデータはないものの、著者は0.0000…%というような値だろうと推測しています。
そして、3時間睡眠でも平気な人は、短眠を可能にする遺伝子を持っている可能性が高いと考えられているのだそうです。つまり、多少なりともそういう人は存在するということなのでしょう。
ただし、それ以外の90%以上の大多数は、7時間以上の睡眠は必要。
ショートスリーパーの真似をして3時間睡眠にしようと努力しても、結果的にはさまざまな病気を患うリスクのある不健康な生活になり、自分を痛めつけるだけだということです。
■寝不足はそのうち慣れてくる?
人間はある条件を満たす場合においては、ショートスリーパーでなくとも、短時間睡眠である程度辛抱することは可能。その条件とは、(1)「期間が限定されていることがわかっている場合」、そして(2)「モチベーションがあること」だそうです。
いい例が、赤ちゃんが生まれたばかりの夫婦。赤ちゃんの夜泣きにつきあって寝不足になっても、長く続くわけではないとわかっていて、子どもの成長が励みになっているからこそ、体力的にきつくても耐えられるわけです。
ただし、あくまでも条件つきであることが重要。緊張やモチベーションがあるうちはいいものの、寝不足が長期間にわたって続くと、体に無理が生じ、やる気もパフォーマンスも落ちてくるということ。
寝不足が長く続きそうな場合は、一時的にうまくいっていたとしても慢心せず、睡眠をきちんととるなど生活を見なおすことが大切だといいます。
■エナジードリンクで目覚める?
徹夜などで眠れないとき、「レッドブル」「バーン」「モンスターエナジー」などのエナジードリンクを飲んでがんばるという方も少なくないでしょう。しかし、その成分は意外に知られていないと著者。
たとえばレッドブルの成分表を見てみると、次のように書かれているそうです。
砂糖、ブドウ糖、酸味料、L-アルギニン、カフェイン、ナイアシン、パントテン酸Ca、VB6、VB2、VB12、香料、着色料(カラメル)
たしかにカフェインは含まれているものの、含有量は1本あたり80ミリグラムと、同僚のコーヒーが含むカフェインとほぼ同じ分量。なのになぜ、エナジードリンクばかりが「徹夜のお供」と認識されているのでしょうか?
エナジードリンクの目覚まし効果は、実際にはその大半がカフェインによるもの。でも、それに加えて「なんとなく目が覚めそう」というプラセボ効果もあると考えられるのだそうです。
効能をアピールする盛大な製品プロモーションに寄って、「これを飲めば効く」という情報が頭のなかにインプットされているということ。
なんだか騙されたような気分ですが、プラセボ効果もバカにできないことが、最近の研究や新薬の治験でわかってきてもいるのだとか。「効くかもしれない」と思って飲めば、効果は必ずしもゼロではない可能性もあるということ。
とはいえ、実際に死亡例が出ていることからもわかるように、カフェインの過剰摂取は禁物。あくまで仮眠を中心にした寝不足対策が望ましいそうです。
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もちろん十分な睡眠がとれればベストですが、なかなかそうはいかないのが現実。だからこそ、本書を参考にしてパフォーマンスの向上を目指してみてはいかがでしょうか?
(文/作家、書評家・印南敦史)
【参考】
※西多昌規(2016)『スタンフォード大学で学んだ睡眠医学の専門家が教える 寝不足でも結果を出す全技法』ディスカヴァー・トゥエンティワン