「ワーキングホリデー」に行ったらどんな仕事をする人が多い? 専門家に聞いてみた!

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近年、非常に注目されている「ワーキングホリデー」という制度。「海外で働きながら言葉や文化を学ぶ」というものですが、実際にワーキングホリデーで海外に行った人たちは、どういった職に就いていることが多いのでしょうか。そこで今回は、日本ワーキング・ホリデー協会の真田浩太郎さんに、ワーキングホリデーでのお仕事事情を伺いました。

■募集の多い飲食店で働く人が多い

――ワーキングホリデーを利用して海外に行った方は、どういった仕事に就くケースが多いのでしょうか?

真田さん カフェやレストランなど、飲食関係のアルバイトをされる方が多くいます。やはり飲食の仕事自体の分母が大きく、募集も多いため仕事に就きやすいようです。現地のお店もワーキングホリデーで訪れている人を積極的に採用しているケースも多く見られます。

――これは受け入れ人数の多いオーストラリアをはじめ、どの国でも同じなのですか?

真田さん そうですね。基本的にはどの国でも飲食店での接客やシェフなどの裏方の仕事に就く人が多く見られます。中にはアルバイトでシェフをしたことがきっかけで、世界的に有名な飲食店で重要なポストに就いたという人もいますよ。

――夢が広がるエピソードですね。

真田さん 他に、ワーキングホリデーで海外に行く人のだいたい6-7割ほどの人が最初に日本食のレストランで働いています。オーナーや店長が日本人であることも多いので、日本人が採用されやすいということもあるようです。やはり日本語の通じる環境だと働きやすいというのもありますし、「慣らし」としては最適だといえます。

――日本人なら日本食のことも分かりますし、説明もしやすいかもしれませんね。

■海外と日本のプロセスの違いは?

――海外で働く場合ですが、そのプロセスは日本とどう違うのでしょうか?

真田さん 履歴書を見てもらい、その後に面接があって採用になる、という基本的な部分は日本と変わりません。ただ、オーストラリアなどでは日本のような大きな職業あっせん企業がなく、仕事を探す際はWebの掲示板を見たりして探す必要があります。他には「履歴書を配って歩く」というのも日本とは違う点です。働きたいお店に行って履歴書を渡して、連絡を待つという形です。

――かなりアグレッシブな方法ですね……。履歴書自体も日本と海外では大きく違いますか?

真田さん 日本の場合は履歴書のフォーマットが決まっていますが、海外では履歴書は自分の思うように好きに書くスタイルです。また、学歴や経歴といった必要なことだけをまとめる非常にシンプルなものでもあります。

――日本のように長所や短所などは書いたりしないのですか。

真田さん そのあたりは面接で……ということですね。他にも海外の履歴書の特徴として性別を書かないということがあります。これは男女で差別することに当たるとして、記載する必要はないのです。

――日本の形式に慣れていると、海外で働く際にかなり混乱しそうですね。

真田さん そうした人のサポートのために、外国語学校などでは「ジョブクラブ」といったサポートサービスを設けていたりします。ここでは面接のアドバイスなどもしてくれるので、働く際に非常に助かりますし、有利になります。

――海外で働く場合、そういったサポートがあると心強いでしょう。

真田さん やはりどんな仕事でも、「知人の紹介」という形が一番採用してもらいやすかったりします。「語学学校に通う時間が惜しい」という人もいますが、こうしたサポートサービスを通じて紹介してもらうことでよりスムーズに仕事に就くこともできますから、ワーキングホリデーの際には語学学校に入ることを検討してみるのもいいと思います。

■資格があれば海外で働く際に思わぬ助けになることも!

――海外で働く際の「賃金」についてはどうなっていますか?

真田さん 例えばオーストラリアだと最低時給が16ドル(約1,600円)、カナダだと12ドル(約1,200円)です。

――日本と比べるとかなり高いのですね。

真田さん オーストラリアは所得税が30%と高いのですが、それでも約13ドルは自分の手元に入ってきます。これは最低時給なので、一般的にはもう少し高い時給であるケースがほとんどです。他に、カナダなどチップのある国では、それも重要な収入源となります。

――ワーキングホリデーで働く場合、どういった仕事が高給だったりしますか?

真田さん 以前、富裕層向けのリゾート地で働いたという人がいましたが、かなり高給だったと聞いています。また、やはり専門職の人は優遇されます。例えば、多くの人が就いているカフェの仕事でも、「バリスタ」の資格を持っていると待遇が良かったりします。オーストラリアではバリスタは非常に注目されており、バリスタが働く店を変えると、お客さんまで一緒に付いていってしまったりすることも珍しくありません。

――カフェで働く際は、バリスタの資格を取ると良いことがあるかもしれないということですか。他にも「こうした資格があると役立つ」というものはありますか?

真田さん やはり英語の資格があると有利に働くことが多いです。例えば海外で接客のお仕事などをしたい場合は、TOEICは最低でも700点以上ないとスムーズな会話が行えず難しいとされています。やはり接客はお客さんに失礼があるといけませんから、ただ話すだけでなく、幅広い語学の知識が必要です。

――日本語の尊敬語や謙譲語に当たる英会話まで身に付けておかないといけないのですね。

真田さん また、海外では、TOEICよりも会話力を重視する「IELTS」を評価しているケースが多く見られます。他にはやはり専門分野での資格を持っていると、まずマイナスになることはないでしょう。何も持っていなくても、先ほどのバリスタなどは短時間で取得できるものなので、ワーキングホリデーの間に取得する人も多くいます。

――そうした資格や経験は日本に戻ってきても役立つでしょう。

真田さん 非常にプラスになると思います。ですので、若い世代の人たちにはぜひワーキングホリデーを利用して、さまざまな経験をしてもらいたいです。

――ありがとうございました!

ワーキングホリデー制度を取り入れている国は少しずつ増えており、2016年6月にはスロバキアとの交流も始まりました。大学生活の間に、貴重な経験をしてみてはいかがですか?

日本ワーキング・ホリデー協会
http://www.jawhm.or.jp/

(中田ボンベ@dcp)

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