赤堀雅秋監督に聞く、衝撃作『葛城事件』を映画化した理由 「これは対岸の火事ではない」 (2/3ページ)

AolNews

題材として取り扱うことは少なくないです。おそらく人間のアンタッチャブルな部分に惹かれるのだと思います。普段から部落差別のことなどに触手が伸びて、よくそういう本などを読みます。舞台版を作った当時、僕は死刑制度に興味があって、本を読み漁っていました。その中で、これが我々の日常の地続きにあり、対岸の火事ではないと考えるようになりました。

――事件が起こると報道はされますが、その先にあるもの、起こることまでは届かないものですよね。でも、我々は第一報の"その後"こそ、知りたいと思っている。

ブラックな映画を観たいという期待はあるかもしれませんが、それだけではなく、もしかすると自分自身もこういうことになってしまうかもしれないという事、たとえば家庭がある父親であれば、葛城清のようになってしまうかもしれないという不安や恐怖、想像力を喚起したい。もし観客にそれが喚起できたら、作り手としては、嬉しいです。

――本当は対岸の火事、自分とはまったく関係ない世界の話だと思いたいけれど、この映画はそうはさせてくれなかった(笑)。

そうなんです。僕自身もそうですが、日頃テレビを観ていて何かの事件で犯人が捕まった時など、「あ、これは死刑だな」とか、普通に言ってしまうものじゃないですか(笑)。これは自戒を込めて言いますが、まったく自分に関係がないとは言い切れないはずなんです。『葛城事件』を観て、テレビで流れる情報のもう半歩先を常に想像できたら。そうなれば世の中は平和になると思っています。けっこう本気でそう思ってます(笑)。

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