【永田町炎上】基地問題で揺れる翁長知事一派と沖縄県の真実

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Photo by photo AC(※写真はイメージです)
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【朝倉秀雄の永田町炎上】

■人の不幸に乗じて沖縄県民の怒りを煽る翁長知事一派

 6月19日、5月にうるま市の20歳の女性が元海兵隊員の米軍属の男に強姦された上、殺害された事件に講義するための「県民大会」なるものが那覇市内で開かれた。

 主催者側の発表によれば、約6万5000人。一部報道では3万人弱の「県民」が参加し、被害者女性を追悼。「海兵隊は撤退を!」「怒りは限界を超えた!」などと大書したプラカードを掲げて、「在沖米海兵隊の撤退」などという決議を採択して自己満足に浸ったらしい。主催したのは、「辺野古新基地をつくらせないオール沖縄会議」なる翁長雄志知事を中心に社民・共産・生活・民進・沖縄社会大衆な各政党と連合沖縄・自治労・沖縄教組などの労働組合が結託した革新色の強い勢力だから、人の不幸に乗じて「大衆」を煽動したのであろう。
 この種の集会の常として中核派や核マル派などの物騒な極左集団が入り込んで、機関誌を配る光景が見られたことは言うまでもない。
 当然ながら自民・公明両党関係省や県内の多くの市町村長は参加を見送っているから、「オール沖縄」というには、大いに疑問符がつく。菅義偉官房長官も翌20日の記者会見で「よく県全体という話をされるが、まったく当てにならない。11市のうち9人の市長が参加していない」と述べている。沖縄の民衆が騒げば騒ぐほど日米の絆に亀裂が入り、諸手を打って喜ぶのは沖縄県に属する尖閣諸島を自国の領土だと主張する、「無法国家」の中国だということが分からないのであろうか。

■「自虐意識」が強すぎる沖縄県民

 そもそも沖縄というのは、1872年から79年にかけて、旧来、琉球諸島の施政権を委任してきた中山王府を廃して県を置いた、いわゆる「琉球処分」によって正式に日本に編入された経緯もあってか、日本への帰属意識や愛国心が希薄な土地柄だ。
 何より先の戦争でも基地問題でも「自分たちが誰よりも被害を被り、割を食っている」という意識が強い。「太平洋戦争末期の沖縄戦で家族を亡くしたり、負傷したりするなどの被害を受けた」と主張する79人が、国に1人当たり100万円の賠償と謝罪を求めて訴訟に及んだことなどはその現れであろう。先の戦争では死者だけで軍人・軍属・民間人を合わせて、全国で300万人以上にも上る。
 裁判所は「被害者は多数に上り、財政事情という制約がある中、誰にいかなる内容の補償を行うべきかは政策的な判断であり、立法府に委寝られる事柄だ」として請求を棄却したが、当然の判断であろう。戦災死した者に賠償などしていたら、国庫が破綻してしまう。
 いずれにせよ、翁長らはそんな沖縄県民の「自虐意識」を巧妙に利用し、「沖縄の民意に迎合していれば御身安泰」とばかりに、中国軍艦の度重なる接続水域や領海への侵入、グアムまで射程に捕らえる北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ムスダン」発射の成功などますます緊迫度を増す安全保障環境の変化など一切考えないのだから、困ったものだ。

■基地がなくなっても沖縄の凶悪犯罪は減らない

 沖縄では昭和47年の本土復帰以来、殺人や強姦などの凶悪犯罪が574件も起こっている。米軍関係者が犯罪などの不始末をしでかすと、必ず反政府勢力が勢いづき、「米軍基地こそが諸悪の根源」との論理になり、沖縄の基地問題と在日米軍の法的地位や基地の管理・運営について定めた「日米地位協定」を「改定せよ」という話に発展する。
 今回の事件でも翁長などは早速地位協定の不公平感を煽り、「基地があるゆえの事件が起きてしまった」「県知事として県民の生命財産を守る立場からすると、とても容認することはできない」などと宣い、普天間飛行場の名護市辺野古移設反対派を煽ることに利用している。
 だが、実は沖縄で犯罪を犯すのは米軍関係者よりも沖縄県民一般の方がはるかに多い。その点に関し『新潮45』2016年7月号に評論家の篠原章氏が具体的数字を挙げて検証している。
 氏は今回の事件は「日米地位協定」とは関係ないとした上で、2015年の沖縄における人口千人当たりの刑法犯発生率は、米軍関係者が0.9なのに対し沖縄県民一斑は2.3と2倍以上だとしている。沖縄県民一般の方が米軍関係者よりもはるかに遵法意識が低いわけだ。これはたとえ米軍基地を無くしたところで沖縄の治安は少しも良くならないことを意味する。
 また氏は警察庁の公表データから2000年から2014年までの15年間に沖縄県内で認知された殺人罪適用件数は298件(末遂を含む)─年平均19.8件にも及び、人口がほぼ同じ長崎県の累計143件─年平均9.5件、愛媛県の同239件─同15.9件、山口県の同224件─同14.9件、滋賀県の同157件─同10.5件と比較して凶悪犯罪率が高いことを指摘している。
 さらに人口10万人当たりの殺人罪適用事件の認知数を「殺人事件発生率」として算出し、2000年から2014年までの15年間の平均値を取って都道府県別に順位付けしてみると、沖縄県は1位の大阪府の1.464と僅差の1.455となり、ワースト2位を占めるという。
 その理由について氏は沖縄が所得格差でワースト1位、大阪が2位ということから、格差や貧困が関係していると類推し、「米軍関係者が起こした事件ばかりが注目を集め、沖縄で起こっている現実を冷静に見つめない姿勢では、県民の命と暮らしを守ることはできない」と主張している。
 いずれにせよ、人の不幸を持論の普天間飛行場移設反対運動に政治利用しようとする翁長一派の姿勢は、死者を冒涜するものであろう。

文・朝倉秀雄(あさくらひでお)
※ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中。
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