プロレス解体新書 ROUND8 〈北尾光司“笑撃”デビュー〉 話題性のみを求めたが故の結末 (2/3ページ)

週刊実話

全日本プロレス勢の参戦により大きな注目を集めたこの大会で、ビッグバン・ベイダーとスタン・ハンセンによるド迫力の外国人頂上決戦が繰り広げられた後、北尾はセミファイナルのリングに上がった。
 なお、この大会のメーンイベントは橋本真也の「時は来た! それだけだ」と、アントニオ猪木の「出る前に負けることを考えるバカがいるかよ」の名言で知られる、猪木&坂口征二vs橋本&蝶野正洋の世代闘争タッグマッチだった。
 新日vs全日の対抗戦よりも後に、北尾の試合が組まれたのは、放映権の都合で全日勢の試合がテレビ中継できないという事情があってのこと。世間一般にとって、元横綱のプロレスデビューは話題性抜群であったが、プロレスファンからすれば話は別だった。新日vs全日の歴史的邂逅と比べれば、いかに元横綱であろうともかすんでしまう。北尾が真剣に取り組む姿勢を見せたなら、それでも支持は得られたのだろうが…。

 デーモン小暮作『超闘王のテーマ』にのせて、カクテルライトの飛び交う中を悠然と登場した北尾は、金メッシュの角刈り頭にサングラス。鋲だらけの革ジャンを脱ぎ捨てると、下には黄色いタンクトップを着込んでいた。
 そうして、これを怪力一番に引き裂く、当時のハルク・ホーガンそのままのパフォーマンスを見せた。だが、よく言えばナチュラルな、言い換えれば締まりのないその肉体では、ビルドアップされた“超人”ホーガンと似ても似つかず、早くも観客席のあちこちから失笑が起こった。

 いざ試合が始まっても、一つ攻撃を加えるたびに長与が真似た例のポーズを差し挟むから、どうにもこうにも間が悪い。
 対するクラッシャー・バンバン・ビガロは、頭部にまでタトゥーを施した怪異な容貌とは裏腹に“ホウキが相手でもプロレスができる”と評される試合巧者。新日ではサルマン・ハシミコフやトニー・ホーム、WWFでも元NFLスーパースターのローレンス・テイラーら、いわゆる“プロレス初心者”のデビュー戦で相手を務めている。

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