【永田町炎上】参院選直前の東電「第三者報告書」公表に漂う謀略説 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■参議院選直前での公表は民進党を陥れようとする諜略?

 これに早速噛みついたのが枝野元官房長官だ。枝野は翌17日に国会内で記者会見を開き、「菅首相(当時)や官房長官だった私から『炉心溶融』という言葉は使わないように指示した事実はない。

 報告書は民進党の名誉を毀損する。参議院選前に不誠実な調査結果を公表するのは選挙妨害の疑いも免れない。法的措置を含めて検討する」と憤懣やる方ない様子だ。

 菅元総理も「『第三者──』という以上、政府や東電から離れた立場の厳密な『第三者』でなければならないのに、そうではなく、東電が選んだ弁護士が第三者を名乗っていること自体がおかしい。しかもそのうちの1人は舛添前都知事の政治資金に関する第三者委員会のメンバー(「マムシの善三」こと佐々木善三弁護士のこと)である。舛添前都知事の時も問題になったが、頼んだ弁護士は依頼者に不都合な報告をするはずがない。

 そもそも『第三者──』の名に値しない。『官邸側』とは誰なのか明らかにされるべきであるが、『官邸側』という人間はいない。参議院選が近い時期に報告書を出して民進党を攻撃する材料にしようとしか思えない」と怒りを隠さない。

■法律家の「正体」は「聖職者」の仮面を被った「変態」?

 東電の「第三者委員会」の委員長は元仙台高裁長官の田中康久弁護士だ。これに特捜検事あがりで、検事正までを務めた舛添や猪瀬、小渕優子などの「悪徳政治家の守護神」ともいうべき「マムシの善三」こと佐々木善三が加わっている。

「第三者──」というと必ず彼らのような連中が構成員になるが、「正体」はいかなる人種なのか。参考になるのが6月8日の新聞報道だ。それによれば、国会の裁判官弾劾裁判所は平成20年に「ストーカー規正法」違反で有罪が確定し、同年12月24日に弾劾裁判で罷免され、法曹資格を喪失した元宇都宮地裁判事・下山芳晴の資格回復を5月17日付で決定したと発表した。下山は臆面もなく弁護士登録を希望しているという。下山は甲府地裁都留支部長時代に執務室から部下の女性裁判所職員に「今度いつ会えるのかなぁ」などと性的表現を含むメールを16回にわたり執拗に送りつけ、山梨県警に告発されて逮捕。

 起訴され甲府地裁から懲役6月、執行猶予2年の有罪判決を受け、弾劾裁判所から「裁判官としての威信を著しく失う行為」として罷免された聖職者の仮面を被った「卑劣なストーカー男」。そんな男に弁護士になる資格などあるまい。

 開いた口が塞がらないのが、東京高裁判事の岡口基一なる男だ。6月27日の『毎日新聞』によれば、平成26年から今年の3月にかけて個人ツイッターに「俺が実験台になって縛ってもらいました」などといったつぶやきと一緒に「半裸の緊縛写真」を掲載し、「裁判官の品位を傷つけた」として、上司の東京高裁長官から口頭で厳重注意処分を受けたという。民間企業なら当然、懲戒免職ものだが、そんなバカなと言おうか、「変態男」が紛れ込んで「偉そうに」人を捌き、不始末をしでかしてもその程度の軽い処分でお茶を濁してしまうところに「身内に甘い」裁判所の腐った体質がある。

 弁護士といえば、6月13日、女性の下着などを盗撮した疑いで栃木県小山市の弁護士梅津真道(43)が県迷惑防止条例違反で逮捕。略式起訴され、栃木簡裁から罰金50万円の略式命令を食らっている。

 自分が捜査機関の厄介になるようでは人様の弁護どころではあるまい。すべてがそうだとまでは言わないが、「第三者委員会」なるものの担い手である裁判官や検事あがりの弁護士の中には、そうした不埒千万な輩も紛れ込んでいることを忘れてはなるまい。

文・朝倉秀雄(あさくらひでお)
※ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中。
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