世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第181回 日本銀行の責任転嫁 (2/3ページ)

週刊実話



 政府が緊縮財政という「デフレ化政策」を推進する反対側で、日銀は銀行から国債を買い取る量的緩和を続けた。結果、日銀当座預金残高は'13年3月の58兆円から、'16年3月には275兆円にまで膨れ上がった。信じ難い話だが、日銀は'13年春からの3年間で、200兆円以上もの「日本円」を発行したのだ。
 ところが、直近のインフレ率は▲0.35。当たり前だ。日銀が購入しているのは「国債」であり、モノでもサービスでもない。政府がモノやサービスの購入を減らす政策を打ち続けている状況で、日銀が国債を買い取り続けたところで物価が上がるはずがない。物価とは、モノやサービスの価格そのものだ。物価とは、モノやサービスが購入されない限り上昇しないのである。
 というわけで、インフレ目標2%はいつまでたっても達成できず、追い詰められた日本銀行は日銀当座預金残高の一部に▲0.1%の金利をかける、いわゆるマイナス金利政策を採用。政府からデフレ対策を丸投げされた日銀が、今度は責任を国内の市中銀行に転嫁した形になる。

 そもそも、日本政府や日本銀行、それに一部の「識者」が理解していないと思うのは、日本国内の各銀行は貸し渋りや貸しはがしをしているわけでも何でもないという事実だ。現在、各銀行の貸出態度は、極めて緩和されている。分かりやすく書くと、お金を貸そうとしている。
 銀行の貸出態度は、日本銀行が集計する貸出態度DIを見れば分かる。貸出態度DIとは、銀行の企業に対する資金の貸出態度について、「1、緩い」、「2、さほど厳しくない」、「3、厳しい」のいずれであるか、アンケート調査を行ったものだ。
 ここで貸出態度DIが緩いとは、「銀行が企業にお金を貸したがっている」ことを意味する。

 驚くなかれ。現在の銀行の貸出態度は、大企業や中堅企業はもちろんのこと、中小企業に対してすら極めて緩くなっているのだ。中小企業に対する貸出態度DIが「20」に達したのは、何とバブル最盛期の1989年以来のことである。
 すなわち、現在の銀行は大企業、中堅企業はもちろんのこと、中小企業に対してすら「お金を貸したがっている」というのが真実なのだ。
 もちろん、個別の案件を見れば、銀行側が貸し渋りをしているケースもある。
「世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第181回 日本銀行の責任転嫁」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る