感動で、悲しみで……思わず涙があふれる漫画10選

学生の窓口

感動したり、主人公の境遇に共感しすぎて悲しくなったり……読んでいて、恥ずかしいくらい涙が溢れるような漫画はとても多くあります。読者が涙が流せるほどに没頭できる作品ってやっぱりすごいパワーを持っていますよね。今回はそんな名作を10つご紹介します。

■海街diary:吉田秋生

綾瀬はるかさん、長澤まさみさん、夏帆さん、広瀬すずさんにより映画化もされ、タイトルだけは聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか? 第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、マンガ大賞2013を受賞したとても評価の高いマンガです。しっかり者の長女・幸(さち)と酒好きで年下の男性が大好きな次女・佳乃(よしの)、いつもマイペースな三女・千佳(ちか)の三姉妹の家族物語です。

神奈川県の鎌倉を部隊に描かれる家族の絆の物語というあらすじをみると、少し退屈なイメージを持つ人もいるかもしれませんが、そんなことありません! 実ははもう一人異母妹がいたということが父の死により発覚し、さまざまな問題を姉妹で解決し、乗り越えていきます。3人の血の繋がった姉妹と、異母姉妹にあたる浅野すずが若い女性ならではの悩みをたくさん抱えたまま、一緒に生活しながら姉妹がそれぞれに成長をしていく姿は涙なしでは読むことができません。家族がもう一度一緒に暮らすことにより、父の印象や思いが変わっていく様もとても見応えがありあす。自分の家族に照らし合わせながら、なんだか家族に優しくしたくなる気持ちにさせてくれる漫画です。

作者:吉田秋生
出版社:小学館
掲載誌:月刊フラワーズ
連載開始:2006年8月
巻数:既刊6巻(2014年7月現在

■夕凪の街 桜の国 :こうの史代

1945年8月6日に広島を焼け野原にした原子爆弾、そこから復興を果たし、世界的にも代表的な平和都市広島に済んでいる被爆2世である女性が主人公となっています。 原子爆弾はその瞬間に熱風やがれきなどで人を殺しただけでなく、その後も後遺症で苦しまされている人がとても多くいます。それを目の当たりにしてきて被爆2世の主人公が現実にぶちあたりながらも幸せに生きていく様が描かれています。

原子爆弾をテーマにした漫画は多くありますが、絵のテイストもとても読みやすくかわいらしいのが特徴です。原子爆弾の生々しい絵は少ないので、平和や原子爆弾の被害について学びたいという初心者の方にもおすすめの本です。今の日本では戦争は身近なものではないですが、世界各地では戦争がたくさん起きている、とても平和とは言えない地域もあります。そんなときだからこそ、日本で起きた戦争について、その被害がどれだけ平和に暮らしている民間人に暗い影を落とし、後世にまで悲しい出来事を生んでしまう現実を知る必要があります。はるか昔の出来事ではなく、70年前の、被爆2世・3世は今もさらされている現実の問題がそこにはあります。その中での幸せと平和の尊さには感謝の気持ちの涙が溢れることは間違いないでしょう。

作者:こうの史代
出版社:双葉社
掲載誌:WEEKLY漫画アクション
発売日:2003年9月
巻数:全1巻

■うさぎドロップ:宇仁田ゆみ

血の繋がらない21歳差の二人の生活をコミカルに描いた作品。主人公ダイキチは祖父の隠し子であるりんを育てることになり、6歳と27歳独身男性の奇妙な、でもほっこりする生活が始まります。
この漫画はテレビアニメ、映画化もされていてとても人気のある作品です。30歳のダイキチはタバコをやめ、育児に奮闘をします。結婚もしていないのに急にパパとなり、子育てのために仕事の内容が変わったり、生活にも変化が出てきます。りんの実母が現れたり、保育園のママたちとの交流のなかでいろいろなことが起こったりと毎日が波乱万丈。血は繋がらないながらも二人は一生懸命に生き、愛情も生まれます。

日常的ではない設定ではありますが、見ていると、家族に対しての想いや、今の自分の環境と重ね合わせ共感する部分も多いのではないでしょうか? 子どもを生んでないのに急にパパになるダイキチの苦悩と努力を見ていると自分の環境を冷静に見つめつつも、明日もまたがんばろう!とポジティブな気持ちにさせてくれる漫画です。

作者:宇仁田ゆみ
出版社:祥伝社
掲載誌:FEEL YOUNG
連載開始:2005年10月
巻数:本編全9巻 番外編1巻

■ワンピース:尾田栄一郎

日本で最も売れている漫画です。少年ジャンプで連載され、日本の漫画で最高の3億2000万部を突破しているギネスにものるほどの売上を誇ります。海外でも人気が高く、コスプレをする外国人も多くいますね。

男の子向けの冒険漫画だと思っている人も多いでしょうが、それだけではありません。主人公は航海の途中で仲間を増やしていきます。その一人一人に色々な過去があり、その過去の呪縛や不安から主人公ルフィは仲間を救っていきます。母親を殺された航海士、恩師を裏切ってしまった医者、自分の国を守るために命を差し出す王女、などさまざまな窮地に立たされた仲間たちを助けるためにルフィは命をかけて戦います。ルフィや仲間の一人であるウソップが、人だけではなく、航海の友である船に対して熱い気持ちをぶつけるシーンは名シーンとして有名ですね。せつなくなるほどにまっすぐな彼らの冒険は見る人の心を捉えて離しません。

作者:尾田栄一郎
出版社:集英社
掲載誌:週刊少年ジャンプ
連載開始:1997年
巻数:既刊79巻(2015年10月現在)

■コウノドリ:鈴ノ木ユウ

産婦人科を舞台にした漫画です。医療漫画は多くありますが、産婦人科のものはわりと少ないのではないでしょうか?2015年第39回講談社漫画賞・少年部門にもノミネートされ、同年10月より綾野剛さん主演でドラマ化もされました。


物語は妊婦さんとその家族を中心に展開していきます。切迫流産、障碍児検査の問題、若年者の中絶、母の命と子の命の選択など、現実にある、産婦人科の出来事を描写した作品です。主人公の鴻鳥サクラは児童養護施設で育てられ、自分の両親を知らないという中で施設の人に支えられ、産婦人科医となりました。患者の意見を優先し、とても優しい産婦人科医という設定です。妊娠は病気ではない、だからといって100%安全なお産もありません。現代の発達した医療の中でも医師、そして患者である妊婦が様々な状況に応じて苦しい判断を迫られ、命の選択をしないといけない場面がとても生々しく、そして主人公の穏やかな性格とその反面の命への情熱が同時に描かれている物語です。

作者:鈴ノ木ユウ
出版社:講談社
掲載誌:モーニング
連載開始:2012年8月
巻数:既刊12巻

■僕等がいた:小畑友紀

テレビアニメ、映画化もされたヒット作品です。釧路市の高校に入学した高橋七海のクラスには、まさに絵に描いたようなモテる男子生徒・矢野元晴がいました。七海と矢野は付き合うのですが、高校二年生の冬に彼は東京に転校してしまいます。彼には恋人と死別したという過去もあり、遠距離恋愛を続けていたはずが、翌年には音信不通となってしまいます。
その後再会した時には、七海の知っている矢野はもうそこにはいませんでした。

前向きで天然で、少女漫画らしいかわいい主人公をどうしても応援したくなってしまうストーリーです。ただ一筋縄ではいかない理由が矢野の過去に隠されています。音信不通になった矢野には彼女ができていて、それがまた話を複雑に展開させていきます。ただ素直に好きな人と付き合っていた青春時代とは変わり、高校の同級生がそれぞれに違う場所で違う人生を歩むことで、離れていく気持ちを切なく描写しています。素直に行動できない大人になる面倒さと、それでもキラキラした気持ちを持っていたいという若い心が誰もが一度は経験したことのある「切なさ」「どうしようもなさ」に共感できるのではないでしょうか。

作者:小畑友紀
出版社:小学館
掲載誌:ベツコミ
連載開始:2002年5月
巻数:全16巻

■スラムダンク:井上雄彦

ジャンプ黄金期の代表作「スラムダンク」は漫画はもちろん、アニメ、ゲームと大ヒットをした漫画です。さまざまな名言もあり、今でもこの世代の人はよく口にするほどです。 バスケットボールブームの火付け役でもあります。

湘北高校に入学した不良、桜木花道が淡い恋心を抱いて、ひょんな流れからバスケットボール部に入部するところから始まります。ただの不良少年がバスケットボールによりまっすぐにスポーツと向き合い、仲間を作っていき、インターハイにまで出てしまうという漫画です。 スポーツ漫画での泣き所、というのは色々なパターンがありますが、やはりスラムダンクでは桜木花道が泣くと、読者も泣いてしまいます。自分のふがいなさからの悔し涙はページを飛ばしてしまいたくなるくらい心が締め付けられます。そして、感動の涙ももちろんあります。長年、桜木花道が目の敵にしているチームメイト流川との距離が近づくたびに、桜木花道の成長を感じ、涙が溢れます。

またこの漫画は主人公以外にもとても注力して描写がされています。三井、宮城というチームメイト、陵南の魚住、仙道、海南の牧……さまざまな選手が真剣にバスケットボールに取り組み、挫折・成功をしていくという物語はどこにも無駄な描写がありません。1Pも見逃すことなく、読む価値があります。

作者:井上雄彦
出版社:集英社
掲載誌:週刊少年ジャンプ
連載開始:1990年
巻数:全31巻

■天使なんかじゃない:矢沢あい

天使なんかじゃないは「りぼん」で連載されていた少女漫画です。高校の生徒会を舞台に物語は進んでいきます。主人公の冴島翠は生徒会役員に立候補させられ、副会長となってしまいます。そして、時代に遡った髪型・リーゼントの須藤晃が生徒会長となり、仲が近づいていきます。翠は明るく、友だちが多く、モノマネがうまい人気者で、読んでいると本当に元気がでてくるキャラクターです。また晃も個性があり、リーゼントでなければ普通にイケメンです。実家はお金もちで、でも家族とは仲が良くない、という少し暗い過去を持っています。そんな晃の心を翠が持ち前の明るさを使い直球勝負で溶かしていきます。ただの恋愛漫画ではなく、家族との繋がりや友情の話も読み応えがあります。

人気者で、人の気持ちに敏感な翠だからこそ、晃に本音が言えない、というようなシーンがいくつかあります。その描写がとても切なく、涙が出ます。恋愛だけではなく、友情においても見所がたくさんあります。生徒会書記の麻宮裕子は友だちがいない、美人な女子生徒です。いじめや悪口から麻宮裕子を守る翠は本当にかっこいいです。全巻読んだらあなたもきっと友だちになりたい!と思うほど魅力的なヒロインです。

作者:矢沢あい
出版社:集英社
掲載誌:りぼん
連載開始:1991年9月
巻数:全8巻(単行本)

■NANA:矢沢あい

先述の天使なんかじゃないと同じ作者の作品です。アニメ、映画化も数々されている矢沢あい作品の中でもっとも知名度の高い、売り上げの多い少女漫画です。第48回(平成14年度)小学館漫画賞受賞していますが、現在は作者急病のため21巻までの発刊で休載されています。二人の奈々、ナナが出会うところから物語は始まります。ナナはバンドで成功することを夢見て上京し、バンド活動をしてデビューまでこぎ着けます。 奈々は彼氏について上京し、その日暮らしをしながら行き当たりばったりの生活をします。二人はひょんなことから同居することとなり、ナナのバンドメンバー、奈々の友人たちと友に東京で恋愛・仕事・夢などを中心にした暮らしが描かれています。

ナナの元カレであったギターリストの本城蓮との再会のシーンは涙なしでは読むことができません。素直になれない二人が、それでもどうしてもお互いを求めて再会してしまい、その情熱や焦燥感の感じる二人の愛情には切なさを感じざるをえません。 また、奈々の恋愛はとてもリアルに描写されています。幸せになりたい、という単純なような願いをかなえるために毎日を一生懸命に生きているのに、必ず誰かを傷つけてしまう恋愛をしてしまう、という展開には現代を生きる女性すべてが共感できる部分があるのではないでしょうか。

作者:矢沢あい
出版社:集英社
掲載誌:Cookie
連載開始:2000年7月
巻数:21巻(2009年6月作者急病のため休載中)

■BASARA:田村由美

1993年に平成4年度(第38回)小学館漫画賞を受賞した名作です。日本を舞台にした架空戦記という少女漫画にはあまりない設定の漫画です。その分とても新鮮で、展開にわくわくした女性も多いのではないでしょうか。そして少女漫画らしく戦記といっても恋愛の物語もあるという新しさを感じさせた漫画です。

20世紀末に世界の文明が崩壊し、文明レベルが戦国時代まで退化し、残った土地では暴君である王が納め、権力争いの耐えない世の中になってしまいます。その時代に救世主として生まれる更紗が主人公です。そして生まれの村の宿敵である朱理と出会い、恋に落ちてしまうという悲劇的な恋愛が始まります。

それがわかってしまうまでの読者側のどきどきと、わかってしまってからも宿敵であるはず愛してしまう苦悩は読んでいて胸が苦しくなります。また仲間を集め、革命を起こしていく中でたくさんの仲間の死にぶちあたり、その仲間の過去や生き様には誇りが伝わってきて、涙が止まりません。そんな苦しい中を成長して、革命を起こしていく更紗の力強さと女性ならではの繊細な優しさを見守る仲間たちとの友情や恋模様は少女漫画らしからぬ複雑さを持っています。きっと男性でも面白く読むことの出来る数少ない少女漫画です。

作者:田村由美
出版社:小学館
掲載誌:別冊少女コミック
連載開始:1990年9月
巻数:全27巻(外伝を含む)

いかがでしたでしょうか。やはり泣ける漫画というのは「共感できる」という要素がとても多いです。日々の暮らしはもちろん、恋愛において共感できるシーンにはやはり感情移入をして涙が止まらなくなります。少し気分の落ちた時などに、思いっきり泣いてすっきりしてはどうでしょうか?

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