「ウチの子ってアスペルガー症候群…?」ある心理実験に学ぶ“心の理論と子どもの社会性”
どんなに人づきあいが苦手な人でも、人は人と関わって生きていかなくてはなりません。引っ込み思案でなかなか友達の輪に入れない子、我先にと傍若無人に友達のおもちゃを奪う子。
そんな姿を見るにつけ「社会性を育てるために出来るだけ早いうちから保育園や赤ちゃんサークルなどの集団に入れた方がいいんじゃないか?」とふと思ってしまいますよね。
今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子が「子どもの社会性を育てるには」についてお話します。
■砂場の風景
砂場の光景です。皆で協力してお山や池を作っているのは4-5歳児。1,2歳児は同じ砂場にはいるけれど個々にスコップを持って穴を掘ったり泥団子を作ったりしています。お友達と協力して何かをしていることはまずありません。
おもちゃを取り返そうと追いかけることはしますが、1,2歳児が隠れんぼをしたり鬼ごっこをする光景はあまり見られません。なぜでしょう?
これは低年齢児はまだ社会性が育つ年齢ではないからです。確かに集団に入れることで受ける刺激はありますが、“人より早く集団に入れた子どもが思いやりの気持ちがより早く芽生えるか”といったらそうではないのです。
“レディネス”という言葉があります。物事を習得するためには一定の知識や経験、興味、そして心身の成熟といった素地が必要であるという意味です。ですから社会性を育てるためだけの理由で集団に放り込むのは時期尚早かもしれません。機が熟すまで待つことも大事ですね。
■サリーとアンの「心の理論の実験」
こんな実験があります。
<サリーとアンの実験>
・1:サリーとアンが、部屋で一緒に遊んでいる
・2:サリーはパンを、かごの中に入れて部屋を出て行く
・3:サリーがいない間に、アンがパンを別の箱の中に移す
・4:サリーが部屋に戻ってくる
パンを食べたいと思ったサリーはどこを探すでしょう?
ほどんどの2歳児は「箱」と答えます。サリーの立場で考えることができず、自分が知っている「パンは箱の中にある」という事実をそのまま答えてしまうのです。
他者が自分とは違う見解を持っていることを想像するの難しいのです。
ところが4歳児以上になると正当率がグンと上がります。相手の気持ちになることが出来るようになるからです。
この実験は“心の理論の実験”と言われます。これは心の理論の発達が遅れている“自閉スペクトラム(アスペルガー症候群など)”などの発達障がい児の疑いがある場合に行われる発達検査です。
■「自分が大切にされている」経験を積むことが大切です
相手と自分の考えていることが違うということが理解できるのは3歳以降、この時期になって相手の立場に立って思いやる気持ちを持つことが出来るようになってきます。
では、それまでにやっておくべきことはなんでしょう?
おもちゃを奪い取られたとき、ママに泣きついて助けを求めにきます。そんな時「お友達だっておもちゃで遊びたいんだから譲ってあげなさい」と思いやりの心を育てようと説得するのは賢明ではありません。
子どもは「相手も欲しいだろうから、ここは自分がグッと我慢して貸してあげよう」なんて思わず、自分が取られた思いで悔しさ一杯です。
そんな時は「おもちゃとられて悔しいね」と抱き締めてやりましょう。また、ブランコを奪い取られそうになったら「いまうちの子が乗っているから待っていてね」と他の子に対して断わりを入れましょう。
喧嘩したりトラブルを起こして嫌な体験をしても、自分の気持を理解してくれるママがいることで安定します。自分が大事にされた経験を積み重ねていくうちに、相手の痛みもわかるようになります。
いかがでしたか。
小さい頃から集団に入れたほうが社会性が育つわけではありません。
まだ他人との関わりよりも親子の関わりの中で生きている子ども。親の就労のため様々な事情で幼い頃から保育園に入れることがありますが、0歳、1歳児に「社会性を育てたい」という目的だけで集団に入れても、人よりも早くこれが育つものではないことを頭の片隅に入れてくださいね。
【参考・画像】
※ MNStudio / PIXTA
※ 自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群) サリーとアン課題
※ 『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』
※ 『一人でできる子が育つ「テキトーかあさん」のすすめ』
【著者略歴】
※ 立石美津子・・・専門家ライター。32歳で学習塾を起業。現在は保育園、幼稚園で指導しながら執筆・講演活動に奔走。自らは自閉症児の子育て中。著書に『一人でできる子が育つ「テキトーかあさん」のすすめ』『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』『読み書き算数ができる子にするために親がやってはいけない104のこと』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『「はずれ先生」にあたった時に読む本』『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』