田中角栄 日本が酔いしれた親分力(12)心遣いで金の価値を変える (2/2ページ)
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福田は、世田谷区野沢の私邸に子飼いの議員を呼びつけ、そして「これを持ってけ」という感じで、新聞紙に包んだ金を渡した。
福田は、それを“豪放”だと思っている。いかにも親分らしい、と。
しかし、相手の議員にしてみれば気持ちは複雑なはずだ。金は欲しい。しかし、「くれてやる」とばかりの態度で金を渡されると、ありがたいという気持ちよりも惨めさが先に立つ。
田中は、まったく違っていた。わざわざ自分で、子飼いの議員のところへ金を持っていく。もし自分が行けない場合は、先に相手に電話をかけて伝えた。
「使いの者に持たせるから‥‥」
どうぞ、頼むからもらってください、と言わんばかりだ。こうなると、例え同じ300万円でも、その価値は大きく違ってくる。
〈この調子では、次期総理は福田が本命どころか、逆転して田中になるかもしれんぞ〉
田中は、この時ニクソン大統領が困っているロッキードの売り込みについても、助け船を出していた。
「私は、先だって繊維の件も一発で片づけたじゃないですか。私の実力は、買って損はない。何でも言ってください」
田中は、すさまじい闘志を燃やしていた。
〈さあ、これから本格的な決戦だ!〉
作家:大下英治