世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第182回 ブレグジットと英国民の主権 (2/3ページ)

週刊実話

長期失業者、あるいは所得が一向に上がらず低賃金で働く労働者が増えていくと、ネイティブな国民と「外国移民」が敵対せざるを得なくなっていく。

 今回のイギリス国民投票に至る離脱派、残留派の運動を見ていて理解できたのは、現在の英国民が完全に「分断」されてしまったという現実だ。
 日本のテレビでも離脱派と残留派が互いに分かり合おうとせず、議論というよりは怒鳴り合いを続け、ボートで威嚇し、水をぶっかけるといった、とてもとても「同じ国民」とは思えない光景が映し出されていた。そしてとうとう最後には、残留派のヒロインであったジョー・コックス議員殺害事件が起きてしまった。
 結局、何が問題だったかといえば、国境を越えたモノ、ヒト、カネの移動を自由化するグローバリズムは、経済規模(GDP)が順調に拡大し、国民の所得が実質値で上がっていくような時期には「目立たない」。バブル崩壊や緊縮財政により経済がデフレ局面に向かい、実質所得が下がり始めると、途端に「爆発する」という話なのである。

 もっとも、実質賃金の長期低迷や雇用の不安定化といえば、日本の方が先輩だ。とはいえ、わが国の外国人労働者の割合は「まだ」極めて低い数値になっている(1%前後)。というわけで、イギリスと同じ問題は起きていないが、それでも公務員や土木・建設業、電力会社、農協などを「敵視」し、同じ国民同士で争わせるルサンチマン活用手法が大流行した(注:ルサンチマン=支配者や強者への憎悪やねたみの意)。
 日本では、デフレ下でマスコミが特定の「誰か」を敵視し、それを徹底的にたたくことで、ルサンチマンがたまった国民が喝采するという光景が繰り返し見られた。わが国が多数の外国人労働者を抱え込んでいた場合、間違いなく「ネイティブな日本国民 対 外国移民(及び移民に味方する国民)」の争いが発生し、国民が分断されたことだろう。

 アメリカのような移民国家はともかく、日本や欧州諸国のような国民国家が「健全な国民国家」を維持するためには、以下の二つの条件を満たさなければならないのだ。

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