【プロ野球】投手・イチローに代打・野茂…誰もが驚いたオールスター珍事件 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■ハプニング連続で「代打・野茂」「レフト・工藤」

 広島市民球場で行われた1991年のオールスター第3戦。試合は延長戦に突入する白熱した展開に。迎えた延長12回表、打席に立ったパ・リーグの秋山幸二(西武)が自打球を顔面に受けてしまう。秋山はその場に倒れ、担架で運ばれる。パ・リーグのベンチは、野手を全員使い切っていたため、控えには誰も残っていない。

 その時、森祇晶監督(西武)が下した決断は「代打・野茂」。投手の野茂英雄(近鉄)は、オリックスのヘルメットをかぶり、打席へ入る。結果は残念ながら、カウント2ボール2ストライクから見逃し三振に終わった。

 さらに12回裏、センターを守っていた秋山の代わりに、レフトを守っていた愛甲猛(ロッテ)がセンターへ。レフトには、これまた投手の工藤公康(西武)が守ることになった。2死から打球が左中間に飛んだが、キャッチしたのは愛甲。試合は3対3の引き分けに終わった。

 投手が代打に立ち、レフトを守る。オールスターだからこそあり得る出来事だった。

■イチロー対松井秀喜、幻の対決

 1996年オールスター第2戦、試合はパ・リーグが7対3とリードし9回表を迎えていた。2死となり松井秀喜(巨人)が打席へ入る。

 ここでファンサービスを大事にするパ・リーグの仰木彬監督(オリックス)が、アッと驚く投手交代を告げる。何とライトを守るイチローを投手に指名したのだ。高校時代まで投手だったイチローは、投球練習で140キロを超えるストレートを放り、松井との対決に備える。

 だがその時、イチローの投球練習を見つめる松井に、セ・リーグの野村克也監督が声をかける。松井はベンチへ戻り、投手の高津臣吾が代打に起用された。高津はショートゴロ。そのままゲームセットとなった。

 当時、球界の若きスターとして活躍していた松井とイチロー。「夢の球宴」で2人の対決を狙った仰木監督だったが、「オールスターと言えども真剣勝負」という野村監督はそれを許さなかった。両監督の考え方の違いから、「イチロー対松井」の夢の対決は幻に終わったのだ。

 それから19年後の2015年、マーリンズに在籍するイチローは、フィリーズとのシーズン最終戦に8回から登板。今度は公式戦で「投手・イチロー」が実現した。日米含めてのプロ初登板で、イチローは1回1失点という結果を残してマウンドを降りた。

文=武山智史(たけやま・さとし)

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