大きな見返りも得られる!必ず結果が出る「目標数字」の設定方法
『圧倒的な勝ち組になる効率のいい考え方と仕事の仕方』(天明麻衣子著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者はフリーアナウンサー。
東京大学文学部卒業後にNHK仙台放送局にキャスターを務め、その後JPモルガンへ転職。弁護士の夫と結婚し、スペインで1年弱を過ごし、帰国後にフリーアナウンサーとして活動を開始したというエリートです。
印象的なのは、「いまどき“勝ち組”しかも“圧倒的な勝ち組になる”ってなんだよ(笑)」という意見に対して、「そんなのは所詮キレイごと」だと真正面から反論している点です。
結果を出した人はきちんと評価され、大きな見返りを得ることができる。望むと望まないとにかかわらず、現実には勝ち負けがあるのだから、どうせなら圧倒的に勝ちたいという考え方なのです。
そこで本書でも、独自の「必ず結果を出す法則」を記しているわけです。
■数字はゴールまでの道しるべ
ゴールへの道の途上には、いくつか指標となる数字を置いたほうがいいと著者はいいます。
たとえば、将来的にもっと英語を仕事で活用するためにTOEICに挑戦するとします。900点を目指していてもまだ400点だったとしたら、「まだまだだな。もっと勉強時間を確保してがんばろう」と喝を入れる必要があります。
しかし、もし800点まで来たら、「あともうひと息。ここからはがんばりすぎず、無理のないペースで」ということになるでしょう。
つまり、数字があればこのように、その時点での自分に合った戦略の立て方がわかるということ。
数字は道しるべのように「いま、ゴールを目指す道のりの、このあたりにいます」と示してくれるので、より効率的に努力することができるというのです。
■数字がやる気スイッチになる
数字を設定することのもうひとつのメリットは、数字が「“わかりやすいやる気スイッチ”になってくれる」ことだそうです。
「次のTOEICの点数を10点上げる」というような小さなことでも、達成できたら嬉しいもの。そのとき数字があれば、自分がなにかを達成したと実感しやすくなるわけです。
成功体験は、重要なモチベーションになると著者はいいます。成功体験を積み重ねていくことによって、「やればできるんだ。今度は30点上げたい」と、やる気スイッチが自然と入るもの。
それだけではなく、計画の途中でだらけそうになったときも、数字を意識すれば「先は長いのに、時間を浪費している場合じゃないよね」と罪悪感や危機感が大きくなっていくので、そのぶん重い腰を上げやすくなるというメリットも。
■大きすぎる数字を設定するな
ただし、気をつけなければならないこともあるといいます。それは、適切でない数字を指標として設定してしまうこと。
大きすぎる数字にしてしまうと、達成が難しくなり、燃え尽き症候群になる可能性を否定できないというのです。
なんとか達成するために、持てるすべてのエネルギーと時間を集中的に費やし、「よかった、なんとか達成できた……とホッとした瞬間に燃え尽きてしまうということ。
そうなってしまうと、ふたたびやる気を奮い起こして次の数字を目指すまでに、長い時間がかかってしまいます。
10日で100点を取って、そのあとの10日間なにもしないより、8日で70点を取ることを2回繰り返したほうがいい。そうすれば、結果的には16日間で140点取れるからです。
そう考えてみても、無理のしすぎは逆効果だということがわかるのではないでしょうか?
■小さすぎる数字の設定もダメ
とはいえ、能力にくらべて小さすぎる数字も、それはそれで考えもの。
たとえば、本当は10日間で80点取る力があるのに、「まぁ、ここは60点くらいかな」と無駄にハードルを下げたりすることがそれにあたるわけです。
それよりも、もし60点を目指してみた結果、「意外とつらくないぞ」と感じたなら、思い切って80点を目指すのも手だということ。
自分の限界を低く見積もりすぎると、結果的に自分が損をしてしまうことになると著者は主張します。
そういう意味ではむしろ、「もう無理だ」と感じるくらい、「時間とエネルギーをすべて費やしたらどこまで達成できるのか」を一度試してみるのもいいかもしれないとか。
もちろんそれは楽なことではないでしょう。しかし、そうすることによって、「次からはその少し下くらいが数字目標としてちょうどいい」という感覚がつかめるというわけです。
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「圧倒的な勝ち組」を目指すことだけが人生の選択肢ではないので、本書の内容がすべての人に当てはまるかどうかはわかりません。
しかし、その点を踏まえたうえで目を通してみれば、参考になる箇所を見つけることはできるかもしれません。
(文/作家、書評家・印南敦史)
【参考】
※天明麻衣子(2016)『圧倒的な勝ち組になる効率のいい考え方と仕事の仕方』ディスカヴァー・トゥエンティワン