最高幹部の「処刑」を見世物にする金正恩氏の軍事政策 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

一般部隊と異なり、特殊部隊の兵士が建設工事をやらされることは、今までなかった。この命令を下された指揮官たちは、顔に泥を塗られたと怒りを露わにしている」

かつて軍は「先軍政治」をいいことに、「馬賊」と呼ばれるほど傍若無人に振るまい、民間人から恐れられていた。平安南道と中国と往来する50代の北朝鮮女性によると、90年代中盤ごろから、兵士たちが道路を塞ぎ、トラックに積んであった家畜を持ち去るなど、略奪行為が頻繁に起きるようになっていた。

協同農場や個人耕作地の収穫物を強奪したり、中国に不法入国してブルーベリーを勝手に摘んだり、食堂に押し入って食べ物や酒をせびるなど、やりたい放題だった。しかし、そうした軍隊でさえも、長引く経済難から末端兵士に栄養失調が続出。その実態は「飢える軍隊」と揶揄されている。実際、中朝国境地帯で飢えた兵士たちの略奪行為や脱北、そして殺傷事件は後を絶たない。

金正日時代、先軍政治のスローガンの下、我が世の春を謳歌してきた北朝鮮軍だが、粛正・処刑を厭わない無慈悲な統制によって、もはや金正恩氏には逆らえなくなっている。

かといって、正恩氏がいきなり穏健派に変身したわけはない。弾道ミサイルを運用する戦略軍に対しては偏愛ぶりを示しており、武闘派路線を捨てたわけではない。むしろ、軍の一般部隊をあごで使いながら、独裁の暴走は加速している。

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