残業代0なのに終電まで残業を強要!部下を追い込む上司の対処法
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上司
社内で上司にドロをかぶらされた経験はありますか? ドロかぶりは嫌なものですよね。
株式会社保健同人社が2015年に実施した「理想の上司イメージ」を尋ねる調査では、年代に関係なく、「面倒見がよいこと」「責任感が強いこと」が理想の上司のイメージとして挙げられています。
その一方で、面倒見が悪く責任感に乏しい上司は社内でも嫌われる存在です。
このような上司の場合、火の粉をかぶる前に(もしくは、火の粉をかぶらされそうになったとき)策を講じなければいけません。
一体どうすれば、火の粉をかぶらないで仕事を進められるのか? ある会社のケースと一緒に対策をご紹介しましょう。上司との反りが合わないと感じている人は参考にしてもらえればと思います。
■上司にハシゴを外されてしまうケース
これは、IT系サービス事業を展開するX社の事例です。
ある日、営業部の吉沢君が上司の川口課長に「最近、R社が新規開拓で当社の顧客と競合します。先月退職した山本君がR社に入社したと聞いています。顧客情報が流れているのではないでしょうか。ここは調べたほうがいいと思います」と提案しました。
川口課長は「しかし、R社は業界大手だからね。山本君と決まったわけではないし、静観していたほうがいいよ」と返されてしまいます。
最近は、草食系がブームなせいか、軋轢やモメごとを嫌う上司が増えたように感じます。
この状態で勝手に動いたらハシゴを間違いなく外されます。部下の立場からすれば、動けず、騒がず、でもなにかがあれば責任をとらされる。そんな上司の下にいても将来はありません。
■責任感のない上司をうまく動かす方法
そんなとき、社長から全社にあてて号令がかかりました。内容は「最近のマーケットは厳しい状況にある。やみ雲に動くのではなく、競合他社の動向をしっかりリサーチした上で動きなさい」というものでした。
吉沢君は一計を案じました。
「川口課長、社長の号令を聞きましたよね。やはり、R社の動向は調べたほうがいいと思うのです。ただし目立った動きをするとクレームになる危険性もありますから、軽く調べる感じでいかがでしょうか」
川口課長は、軽く調べる程度ならいいと思いGOサインを出しました。
しかし、1週間後、吉沢君から「R社からクレームがはいりました。山本君の一件を話したら、根拠のないいいがかりだといわれてしまいました。私には対応できないので課長お願いします」と報告があります。
ここまでくると、さすがにハシゴを外して知らぬ存ぜぬは通じなくなります。川口課長は気持ちを引き締めてR社を訪問し事態収拾につとめる決心をしました。
どこにでも、面倒見が悪く責任感に乏しい上司はいるものです。このような上司はトラブルを起こしたくない反面、楽して問題解決はできないだろうかというウマイ話には乗りやすいものです。
こういう面倒見が悪く責任感に乏しい上司は外堀を埋めてしまい、表に出て行かざるを得ない状況を作り出すことも必要です。上司をマネージするのも部下の実力です。
■そもそも上司は裏切るものだと思おう
さて、このような上司の特徴に「裏切り」があります。
部下に責任を押しつける上司の存在です。テレビドラマでは、部下の責任を被って上層部に談判し経営陣を動かすようなシーンがありますが、それはドラマだけの話です。
通常は、部下の責任を被って上に談判するような人は存在しません。そんなことをやっていたら、社内で生きていくことができないからです。
上司は部下のためには体を張りません。上司がズルイという問題ではなく、誰もがそうだということです。
だから、部下も賢くならなければいけません。会社人生を安定したものにして過ごすために、処世術を覚えることは大切です。しかし部下である以上、立場を間違えると大変なことになりますから、うまく振舞わなければいけません。
■上司の扱いに失敗してしまったケース
X社では、最近売上が落ち込んでいました。毎日17時になると、各グループで〆会がおこなわれて売上が読み上げられます。
その際に、ボウズ(売上ゼロ)の社員はグループの全社員から詰問を受けます。「どうしたら○○さんの数字が上がるようになるのか」「なにが問題なのか」を永遠に話し合うのです。
そのような日常の繰り返しで、営業マンは一年中ノルマに追われています。朝7時に出社を強制されて、終電間際まで残業が続きます。
しかし年俸制で裁量労働なので残業代は出ません。過重労働で社員は疲弊しています。
部内で体調異変をおこした人が多かったことから、吉沢君は川口課長に「メンバーから残業の不満が噴出している旨」を報告しました。川口課長も「わかった、部長に掛け合ってみる」との返事。
ところが、日が明けると、川口課長からはメンバーに対して厳しい叱責がありました。
「残業が多いのは売上が足りないからだ」「売上を達成すれば定時に帰ろうが自由だ。自らの怠慢を会社のせいにするんじゃない!」
吉沢君は「話が違う」と詰め寄ります。「そんなことは知らない」と川口課長。課長を信用した吉沢君がお人よしだったのです。では、吉沢君はどのように対応すべきだったのでしょうか。
■ダメ上司には予防線を張って交渉する
吉沢君は川口課長に「メンバーから残業の不満が噴出している旨」を報告しました。川口課長も「わかった、部長に掛け合ってみる」との返事。ここまでは変わりません。
ここで念押しが必要です。川口課長に「部長は首をたてに振ってくれますでしょうか? 信頼の厚い川口課長からの話ですから大丈夫とは思いますが気になります。課長が難しいと思うなら辞めておきましょうか?」とさりげなく自尊心をくすぐります。
「とりあえず部長に話してみるよ」。こうなったら、川口課長は自らの意見として部長に話さなくてはいけません。
部下の話を部長に話すのとは事情が変わってきます。責任感に乏しい上司をコントロールするには予防線を張らなくてはいけません。
(文/コラムニスト・尾藤克之)