『おそ松さん』と『しろくまカフェ』の声優一致に対する制作者の回答は? (2/3ページ)
(同書38ページより引用) ■視聴率だけでは計れないテレビ番組のコンテンツ力
『おそ松さん』の原作である『おそ松くん』は1966年と1988年にそれぞれアニメ化されている。特に、スタジオぴえろがアニメーション制作を担当していた2作目は、フジテレビ午後6時30分からの放送で、平均視聴率は20%超えという人気ぶりだった。
アニメとしても、テレビ番組としても、ぐうの音を言わさぬ「勝ち組」である。
一方で『おそ松さん』は視聴率3.0%。この数字だけ見れば、2作目の平成版『おそ松くん』には到底太刀打ちできないだろう。
しかし、ビジネス的には『おそ松さん』のほうが圧倒的に成功している。
『おそ松さん』は「大衆に観られるテレビ番組」ではなく、「熱狂を生むコンテンツ」である。テレビならば「大衆に観られる」ことを意識するだろうし、そのノウハウは少なからず持っているはずだ。しかし、「熱狂を生む」ノウハウなんて存在はしない。だから、「なぜここまで人気が出たのか」が理解しがたいのだ。
■『おそ松さん』ヒットのヒントとなった一作のアニメ布川氏は、『おそ松さん』は市場調査をしっかりしていれば、出てこない企画だと言う。しかし、ノーヒントでこの怪物級のアニメが作られたかというと、そういうわけでもなかったようだ。
2012年にstudioぴえろが制作した『しろくまカフェ』というテレビアニメがある。これはカフェ店主の「シロクマくん」と、常連客の「パンダくん」や「ペンギンくん」、そして人間たちのやり取りを描く、不思議な世界観を持った作品で、シュールながらほのぼのする雰囲気が魅力的だ。
しかし、アニメ化するにあたり、いまいち「押せる」ポイントが存在しなかった。イケメンや可愛い女の子もいなければ、派手なアクションもない。
ならば、原作の最大の魅力である「ほのぼのとしたかわいいキャラクターたち」をより魅力的に引き立てるしかない。
そこで「声」に個性をつけたのである。