頭痛、だるい、下痢。臨床内科専門医が教える、「クーラー病」の症状と予防法
クーラーが手放せない季節ですが、きき過ぎなのか、ときに体が冷えて体調を崩すこともあります。「夏になると、女性を中心にクーラー病(冷房病)を訴える人が増えます。正式な病名ではありませんが、冷房で体が冷えて起こるさまざまな症状の総称です」と話すのは、臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長。詳しいお話を聞いてみました。
■クーラーが原因で起こる不調とは? ―なぜクーラーが不調の引き金になるのでしょうか。正木医師 私たちの体には、暑さや寒さなどの環境に応じて体温を一定に保つ働きが備わっています。暑いときならば、汗をかいて体温を下げようとします。この働きをコントロールしているのが、「自律神経」です。
自律神経は、活動時や興奮時に働く「交感神経」と、安静時やリラックス時に働く「副交感神経」の2種類あります。この2つがバランスを取り合って、心臓の拍動、呼吸、血圧、発汗、胃腸の活動など体の機能を調整しています。
ただし、冷房で体が冷え過ぎる、冷房のきいた屋内と猛暑の屋外の出入りを繰り返すなどしていると、体温を調節しようとする交感神経と副交感神経がバランスを崩して、うまく働かなくなることがあります。
すると、心身ともにさまざまな不調が起こります。
―どのような症状が現れるのでしょうか。正木医師 熱を作り出して放出する働きが機能しにくくなり、手先や足先からひざ下、腕、うなじ、背中など、体全体に冷えを感じるようになります。
すると、頭痛、だるさ、肩こり、腰痛、便秘、下痢、肌荒れ、生理痛、生理不順、不眠、イライラなど、全身に複数の症状が現れることがあります。
■クーラー病を見分けるポイントと予防法 ―クーラー病かどうかを見分けるポイントを教えてください。正木医師 次に挙げる10の項目で、「クーラー病の危険度」をチェックしてください。いくつ当てはまるか、数えてみましょう。
(1)冷房のきいた場所で過ごすことが多い (2)日ごろ、あまり汗をかかない (3)手足やお腹、腰など体の一部が冷える (4)腹痛や下痢を起こしやすい (5)頭痛、肩こり、腰痛など体の不調を感じる (6)冷たい飲み物や食べ物をよくとる (7)体がだるく、疲れがとれない (8)食欲がない (9)夜、あまり眠れない (10)お風呂はシャワーだけのことが多い
3つ以上当てはまる場合は、クーラー病になりやすい、あるいは、すでにクーラー病の可能性があります。環境や生活習慣を見直してみてください。
―クーラー病にならないためには、どのようなことを心がければいいのでしょうか。正木医師 まずは、クーラーの温度設定を低くしすぎず、屋外と室内の温度差は、10度以内にとどめましょう。また、屋内では、エアコンの冷風が直接体に当たらないようにしてください。
冷房のきいた場所や室温の調節が難しい環境では、カーデガンやストールなどの羽織るもの、靴下などの衣類で調整しましょう。
また、入浴時、一人暮らしの人は特に、夏はシャワーだけで済ますことが多いようですが、38度くらいのお湯で半身浴をして体を温めましょう。疲労回復効果があることが分かっています。
さらに、筋肉は全身の熱の40%を産出すると言われます。毎日、ストレッチやウォーキングをするなど、軽く汗をかく程度の運動を習慣として取り入れて熱を作り出すことが、冷え対策にとって重要です。
■まとめクーラーによる冷えや屋内外の大きな温度差が、体温調節をする自律神経の働きを乱し、さまざまな不調に繋がることがあるということです。クーラー病に思い当たることがあれば、早めに、温度設定、入浴法や運動習慣を見直すようにしたいものです。
(岩田なつき/ユンブル)
取材協力・監修:正木初美氏。日本臨床内科医会専門医、大阪府内科医会理事、日本内科学会認定医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、正木クリニック院長。 正木クリニック:大阪府大阪市生野区桃谷2-18-9 http://masaki-clinic.net/wp/