友成那智 メジャーリーグ侍「007」 快進撃の条件が出揃った「岩隈久志」勝負の後半戦 (2/2ページ)
そのため個々のボールの切れは悪くないのに、失点と被本塁打がかさみ、防御率が4点台に張り付いたまま一向に改善される気配がなかった。
光明が見えてきたのは6月下旬のことだ。
「全治6カ月」と発表されていたスークレが早い回復を見せ、6月20日に3Aでプレーを再開したのだ。
しかも、時を同じくして第2捕手のクレベンジャーが守備中に打者のファウルチップを右手に受け、骨折するアクシデントに見舞われ、DL入りを余儀なくされたのである。
当初、その代役として3Aから呼ばれたのは、昨年まで正捕手だったズニーノだった。しかし、ズニーノは岩隈をうまくリードできない。そのため、7月6日に岩隈専用捕手としてスークレが3Aから引き上げられ、7月8日のゲームで今年初めてバッテリーを組むことになった。スークレは、相変わらずバッティングがお粗末で、3Aでは打率が1割5分7厘。しかし、岩隈との相性のよさを評価され異例の昇格となったのだ。
岩隈・スークレのバッテリーが対戦したのは、昨年のワールドシリーズ覇者ロイヤルズ。打線にパワーと走力を兼ね備えた好打者を揃えるチームだが、岩隈はスークレの好リードで初回、先頭打者と次打者を連続して3球三振に仕留める上々の滑り出しを見せた。その後も岩隈は緩急とインサイドを効果的に使う投球でロイヤルズ打線を翻弄。7回3分の2を1失点に抑えた。失った1点は三塁手シーガーの判断ミスによる失点だったので、本来なら無失点で降板できたゲームだった。
注目されるのは、マリナーズが今後もスークレをメジャーに残し、岩隈専用捕手として使い続けるかだ。
スークレはリードにすぐれ、強肩で、ボールブロックもうまい。しかし、バッティングはかなりひどい(メジャー4年間の通算打率は1割8分0厘)。チームとしては一発のあるズニーノを第2捕手として使いたいのが本音だ。しかし、岩隈の好投を引き出す能力も無視できず、8月末まではズニーノとスークレを交互にメジャーに引き上げて、なるべく多く岩隈がスークレとバッテリーを組めるようにするだろう。そして、ベンチ入りの枠が25人から40人に増える9月1日以降は、スークレを岩隈のパーソナルキャッチャーとして活用することになると思われる。
岩隈は味方の得点援護によく恵まれて前半戦9勝した。7月15日から再開したシーズン後半は先発する試合が14試合あると予想されるが、10回以上スークレとバッテリーを組むことができれば17勝以上も夢ではない。
ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。