友成那智 メジャーリーグ侍「007」 快進撃の条件が出揃った「岩隈久志」勝負の後半戦 (1/2ページ)
マリナーズ岩隈久志は今シーズン、開幕から失点が多く、シーズン前半を終えた時点(7月10日)の防御率は4.25という冴えない数字だった。それでもチーム最多の9勝をマークしているのは好投しなくても味方打線が大量得点してくれるからで、RS(9イニング当たりの得点援護)6.28はア・リーグの先発投手で3番目に高い数字だ。
防御率4点台という不調が続く最大の要因は、相性が抜群にいい捕手ヘスース・スークレが今年1月のウインターリーグで脚を骨折。長期欠場することになったため、新加入の正捕手アイアネッタと、同じく新加入の第2捕手クレベンジャーを相手に投げることになったからだ。
岩隈は、左打者には速球とスプリッターを高低に投げ分けて打者の目線を狂わせ、凡フライや三振に仕留めるパターンが基本線だ。しかし、新しい女房役は高低を効果的に使ったリードができず、スプリッターを痛打されるケースが続出。
一方で、右打者にはスライダーとシンカー(シュート軌道の速球)を両サイドに投げ分けてゴロを引っかけさせるピッチングが、ある程度機能していた。しかし、日によってインサイドを効果的に使えないときがあり、その時は、攻めあぐねて甘く入ったシンカーやスライダーを長打にされるケースがよくあった。
それでも正捕手のアイアネッタは経験が豊富なので、大量失点するケースは少なかったが、第2捕手のクレベンジャーを相手に投げた7試合は「バッテリー防御率5.57」が示すように大量失点することが多かった。
そうなった最大の要因は、クレベンジャーが弱肩で盗塁阻止力が低いため、岩隈が一塁走者のけん制にエネルギーを割かれ、打者に集中できなかったからだ。
岩隈はメジャーで最も盗塁を許さない投手の1人と評価されている。一昨年はア・リーグの先発投手で唯一許した盗塁がゼロだった。それによってクイックのうまさは他球団に広く認識され、昨シーズン、岩隈が投げる試合で盗塁を試みるチームはほとんどなかった。
しかし、今シーズンはクレベンジャーの弱肩が岩隈のクイック能力を無力化する結果になったため、相手チームが積極的に盗塁を敢行するようになったのだ。
このように岩隈は、女房役の能力不足で、本来のピッチングができないまま投げ続けていた。