プロレス解体新書 ROUND12 〈想定外だったファン離れ〉 テリー・ファンク最初の引退試合 (2/2ページ)

週刊実話



 当初、引退の日に指定された6月30日のバースデーから遅れること2カ月、8月31日の日本武道館大会において正式な引退試合が開催される。兄ドリーとの最後の兄弟タッグで、対するはテキサス・ファンク一家出身のスタン・ハンセン&テリー・ゴディ。
 試合前のセレモニーで、長年の全日への功績をたたえて感謝状と盾が贈られると、テリーは社長のジャイアント馬場とガッチリ握手し、笑顔でファンの声援に応えた。

 そうして迎えたメーンイベント、おなじみ『スピニング・トーホールド』のテーマ曲に合わせて応援団が黄色のポンポンを振るう中、テリー&ドリーのザ・ファンクスが入場する。
 もちろん館内はテリーコール一色。しかし、ハンセン組が「テキサスの化石になれ!」と、いつもながらのブルファイトに出ると、兄弟分断で孤立したテリーは早々に額から出血。が、テキサス・ブロンコは死せず。
 右ジャブから反撃に転じると、伝家の宝刀スピニング・トーホールドこそカットされるが、ゴディのボディープレスを自爆させると、コーナー最上段から飛び掛かるようにしての回転エビ固めで3カウントを奪取した。
 自ら有終の美を飾ったテリーは、ファンに向けて涙ながらに「さよなら、フォーエバー」を連呼したのだった。

 だが、そんな感動のラストマッチからわずか1年後に、テリーは復帰することになる。ハンセン&ブロディの超獣コンビを相手取り孤軍奮闘するドリーの姿に、たまらずリングインという筋立てではあったのだが…。
 「ファンの反応は驚くほどに薄かった。引退の前からすでに『もうファンクスはオールドタイマーで、超獣コンビに叶わない』と見られていたこともあり、テリー参戦への期待感そのものが薄かったし、やはりそれ以上に早過ぎる引退撤回への違和感が強かったようです」(全日関係者)

 結局、テリーはかつての人気を取り戻すことなく、'85年に米国WWEと契約したのを機に、全日のリングを離れることになった。
 「最初の引退発表時にテリーが満身創痍であったことには違いなく、また、シルベスター・スタローン主演の映画『パラダイス・アレイ』に出演したことから、映画俳優への色気もあったようです。ただ、それを利用して引退アングルを組み、商売にしたのは全日側の意向。しかし、テリーの人気なら復帰もスムーズに受け入れられるとの読みは、完全にハズレてしまいました」(同)

 以後のテリーは引退と復帰を繰り返し、齢70を過ぎた現時点でも、正式な引退は表明されていない…。
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