開始から9年…125人の命をつないだ「赤ちゃんポスト」から考えるママの心の葛藤とは?
赤ちゃんポストが始まって9年。
赤ちゃんポストの利用ケースが、運用開始後9年で125人にのぼったそうです。
あなたは、赤ちゃんポストの存在をどう考えますか?
今日は、元看護師で妊活カウンセラーでもある筆者が、望まれない赤ちゃんを産み苦しむ女性の心情も含めてお話をします。
■望まれない命はどうして誕生したのか?あなたは、思春期にどんな性教育を受けてきましたか?
性に関してどこか“閉鎖的”な日本では、小学校高学年~中学生にかけて2回前後ぐらいの性教育を受けた人が多いのではないでしょうか。
「愛する人との性行為によってあなたが生まれたのよ」
「ペニスが膣の中に入って射精をして、そのあと受精して赤ちゃんを授かるの。赤ちゃんを育てることは容易なことではない。だからこそ、責任を持って避妊をしなければいけないのよ」
もしご家庭で目を見つめられながらそんな話をされていたら、日本での望まない命をどれだけ防ぐことができて、中絶の過去に苦しむ人を救えたことでしょう。
正しい知識がないことや、目の前の寂しさを埋めるためだったり、相手からの避妊を拒めなかったり、望まない妊娠による出産があるのも現実です。
■遺棄する事件も、本当は加害者の心の問題?
赤ちゃんを心待ちにしている人からすると、虐待をする母親や赤ちゃんを遺棄してしまう事件などをみて「私のところに来たら、幸せにしてあげられるのに」と思う人も少なくはありません。
しかし、そんな事件を起こしている女性が本当にただの加害者なのでしょうか?
赤ちゃんを遺棄するほど、誰かにバレることが怖くて追い込まれていた人の感情は、どこか置き去りにはなっていませんか?
もちろん、実際にやっていることは犯罪であり、許されることでありません。
しかし、正しい知識を知ることもなく、自分の寂しさを埋めるために必死に生きていたその女性は、心のどこかでいつも誰かに助けを求めていたのかもしれませんよね。
誰かが彼女に優しく寄り添っていたとしたら、それは防げていたことだったのかもしれませんが、相手の男性にも頼れず、誰にも言えなかったとしたら、本当に大切なことはその心へ向き合うことではないでしょうか……。
■赤ちゃんポスト通じて大切な命を守る赤ちゃんポストの存在を知った時、あなた自身はどう感じましたか? これは人によって違うと思います。
ただ、この世に誕生した命を母親の手で終わらせてしまう最悪の事態を逃れることができるとしたら、画期的なものなのかもしれません。
もちろん、母親の手で愛情込めて育てることができるとしたら、それに越したことはありません。
しかし、最初にお話をしたように、望まない命をしっかりと避妊することを学ばないまま授かってしまい、育てられない人がいる時に、それでも赤ちゃんは産声をあげこの世に誕生しているのです。
その命を奪っていい権利など、誰にもないのではないでしょうか……。
だとしたら、赤ちゃんポストという存在が、大切な“命リレー”をつなげてくれる存在なのかもしれません。
命の誕生に関しては、不妊治療も含めて倫理の問題があり、賛否両論あるかと思いますが、よりよい命のリレーが受け継がれていくことが必要かもしれません。
また、赤ちゃん自身がどんな人生を歩むかも含め、社会全体で支えていく必要性も感じます。
それは産みやすい社会、育てやすい社会とともに、私たち自身も考えていく課題なのかもしれませんね。
【画像】
※ Natali LaRush、Olya Vusochyn / Shutterstock
【著者略歴】
※ 伊藤優子・・・元看護師、妊活カウンセラー。2013年10月からカウンセラー活動を開始し、14名の妊娠実績。産婦人科での勤務経験、娘を重症仮死出産した経験を生かし、マタニティケア、マタニティセラピスト育成講座も開講。著書に『半年以内にママになる妊娠セラピー~ママになるための12のレシピ~/伊藤優子』(Kindle版)