死の海を生み出すな!中国人が語る中国・核施設乱開発

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新たなる核の脅威は現実に迫っている (C)孫向文/大洋図書
新たなる核の脅威は現実に迫っている (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。2016年7月29日、映画『シン・ゴジラ』が公開され大ヒットを記録しています。この映画を見た知人の話によると、ゴジラは人類の核廃棄物の影響により誕生した怪獣で、核の恐怖を具現化した存在であるそうです。太平洋戦争時の原爆投下や東日本大震災時の福島第一原発事故など、原子力による被害を被った日本の作品ならではの設定だと思いますが、新たなる核の脅威は現実に迫っています。

■中国が進める核施設開発

 16年7月30日、イギリスのヒンクリー・ポイント原子力発電所の再開発がイギリス、フランス、中国の共同出資により秋季に実行されることが決定しました。実は中国は以前からヨーロッパ屈指の原発大国であるフランスから技術提携を行っており、原発開発技術は高レベルなものに達しています。現在中国国内では原発の建設が各地で施工されており、4年後の2020年までに20基以上が新設される予定です。

 また、核施設開発は海上でも行われています。16年7月15日、中国政府は南シナ海沖に浮動式の原子力発電所を20基程度建設する予定であることを発表しました。建設の理由は「ガス田開発の電力供給源として」と公表されましたが、外国メディアからは南シナ海で開発されている軍事施設に利用するものと推測されています。その指摘を受けると、中国のメディアは「あくまでも民間施設であるため、他国から攻撃される理由はない」、「万が一原子力発電所を攻撃したら放射線汚染が広がるため、その際の責任は攻撃を行った国にある」などと、暴力団の「当たり屋」のような詭弁を唱えました。

 南シナ海の浮動式原発は2018〜19年に試験運転が一斉開始される予定です。さらに中国の一部メディアは、一基あたりの開発予算が400億元(約6100億円)程度で原子力空母より安いとコストパフォーマンスの良さをアピールしましたが、そのような「安物」が中国お得意の粗製乱造体制で作られたとしたら、どれだけの危険性が発生するか想像していただけるでしょう。

■世界的な核災害が発生する?

 11年の東日本大震災時、津波によって倒壊した福島第一原発は、高い堤防に囲まれ厳重な耐震機能が施された施設でした。しかし、それにもかかわらず自然の巨大な力により甚大な被害を受けました。一方、中国の浮動式原発は政府発表によると「地上式原発を船の上に移動するだけ」というずさんな構造で、南シナ海で大規模な自然災害が発生した場合、福島第一原発をはるかに超える被害が発生する可能性があります。しかも浮動式原発は狭い範囲に密集して開発される予定で、もし連鎖的に事故が発生したら、南シナ海一帯は確実に「死の海」と化すでしょう。そして原発から放出された大量の放射線は、日本やフィリピン、ベトナムなど周辺諸国に飛来し多大な被害を与えると思います。

 原発再稼働を推進する日本政府の対応を受け、日本の左派層は連日抗議デモを行っています。しかし日本が比較にならないペースで核施設の乱開発を進める中国に対し、彼らがなぜ抗議を行わないか僕は疑問に思います。上述の知人によると、『シン・ゴジラ』のクライマックス、日本とアメリカが協力してゴジラ撃退のための作戦を展開するそうです。映画と同じく、僕は各国が団結して中国という「怪獣」を制御するべきだと思います。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

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