村川絵梨「中3の時に“一生独身”を約束しちゃったんです(笑)」ズバリ本音で美女トーク
NHK朝ドラ『風のハルカ』のヒロインも演じた村川絵梨(28)さんが、映画『花芯』で衝撃のベッドシーンデビュー。原作者の瀬戸内寂聴氏も“捨て身の演技の迫力に感動!”と太鼓判を押す本作。気になる撮影秘話から最近のプライベートまで、たっぷり聞いちゃいました――。
――やっぱり、着物姿の女性って色香がありますね。
村川:ありがとうございます。今日は主演を務めさせていただいた映画『花芯』に合わせてみたんです。
――和服だと、ご自身の中に変化とかありますか?
村川:普段、洋服だと脚を組むことが多いんですけど、そういうことは絶対できないし、歩き方もちょっと小股になって、背筋もピンとなるし、良いことばかりです。奥ゆかしくて美しいですし、本来女性ってこうあるべきだなって改めて感じさせてくれますね。
――なるほど。で、その『花芯』ですが、戦前から戦後の時代の中で、許婚と結婚したヒロイン・園子が夫の上司・越智に恋してしまう……という女性の愛を生々しく描いた作品。瀬戸内寂聴さんが書かれた恋愛小説の映画化ですよね。
村川:瀬戸内さんも映画をご覧になってくださり、「よく頑張ったわね。体張っちゃって!」と認めて下さったのはすごくうれしかったですね。あと、「恋はいっぱいしなさい」とのアドバイスもいただきました。瀬戸内さんの寺院「寂庵」で、法話をされているところも拝見したんですが、最近のいろんな出来事すべてが頭の中に入っていて、その出来事に関してすべて、意見されるんです。
――それはスゴイ! 瀬戸内さんは1957年に『花芯』を発表すると、大バッシングされました。村川さんはこの作品、どう感じました?
村川:最初に台本を読ませていただいた時、演じた園子に感情移入しましたね。
――どんなところが?
村川:園子って最初はウブなんですけど、大人の世界とか色んなことに早くから気付いているんですね。私も14歳くらいから東京に来て、いろんな大人の話だけ聞いて、ませていたところもありました。感覚だけは大人というか。そういうところが似ているな、と。
――共感したセリフとかってありました?
村川:「私は愛したんじゃなくて、貴方に恋したの」っていう言葉が出てくるんですが、なんかシンプルだけど深いなって。このひと言には、女性の本音が秘められていると思います。
――つきあっていても“愛してる”わけじゃない、と。
村川:愛と恋をわざわざ言葉にして使い分けるところも、すごく文学的だし。どこか日本人っぽい表現の仕方も素敵だなと思います。
――演じるうえで心掛けたことはありますか?
村川:恋愛ドラマだと、泣いたり怒ったり、感情表現が激しいシーンが多いじゃないですか。でも、今回は静寂の中でふつふつとした感情を抱くのが園子だと思ったので、感情を表に出さないように心掛けていました。
――今回、初めてベッドシーンに挑戦されているのも、大きな話題ですね。
村川:最初にお話しをいただいたときは、不安や戸惑いがなかったと言えば嘘になりますが、女優というお仕事をするうえで、いずれ絶対に通るだろうって覚悟は23、24歳の頃からあったんです。でも、この作品だったら思いっ切り表現したいと思えて、自然に背中を押されました。だからむしろ、隠したりは絶対にしたくないなって。胸元が隠れていてもストーリー上は問題のないシーンでも、“ここではだけた着物を直すなんて不自然”と思って、“脱いだままで”と提案したこともありました。
――親御さんには相談されたんですか?
村川:他の作品では相談したことないんですけど(笑)、『花芯』だけは母に一応、相談しました。母は「あなたが良いって思ったらいいんじゃないの」って。
――ドライですね(笑)。
村川:いつもそうなんですよ。上京するときも「行ってらっしゃい」ぐらいの感覚でしたね。一番、尊敬する強さを持っているんです。そんな風に、母にも言ってもらえたので、私の中でも思いっ切りやろうという気持ちしかなかったんです。
――一糸まとわぬ姿を披露されたわけですが、緊張はしました?
村川:特にはしなかったですね。カメラマンの鈴木一博さんとはこれまで何度か御一緒したことがあって、絶対に綺麗に撮って下さるという信頼があったんです。だから、ただ身を委ね、身も心も解放できました。ただ、表情や仕草は、監督とかなり綿密に打ち合わせをしましたよ。お気に入りは、園子が夫に抱かれている最中、鼻をポリポリかくシーンですね。
――男は必死なのに(笑)!
村川:そうそう(笑)。でも、女はまったく別のことを考えてる。世の女性たちの秘密を明かしちゃいましたね。
――夫に抱かれるのと、愛人に抱かれるのとでも、表現が全然違いますよね。
村川:抱かれる相手によってすべて変えているので、違いを見てほしいですね。その時、その時で純粋に園子の感情になっていて、旦那に抱かれるときは無の感情だったり……。
――下世話な言い方ですが、マグロということ!?(笑)
村川:そうですね(笑)。でも、体は勝手に反応しちゃう。それは女性が受け身であることの哀しさですよね。一方で、恋した男性に抱かれても喜びは一瞬で終わる……その儚さは自然と体現できたと思います。
――御自身の恋愛経験が生かされたりもしましたか?
村川:やっぱりまったく恋愛経験がないとこの役はできないと思ったので、今まで自分が積み重ねた中の、いろんな感情を引き出して、見直して参考にしました。撮影期間中は毎日、感情が揺れ動きっぱなしで、旦那に無理やり抱かれるという場面でも、涙が勝手にすっと流れたり。だから撮影が終わったときは、大事な人をいっぱい無くしたような、喪失感を感じましたね。
――そうなんですね。
村川:この映画での体験は人生の道しるべになったと思います。私自身が強くなれた感じがするんです。見えない壁を乗り越えられた、みたいな。
――奥が深そうですね。ところで、本作に出て恋愛観が変わったりはしました?
村川:以前から、私は園子の考えに寄ったところがあるんです。結婚に幻想を抱かないタイプで。それがより強くなっちゃいましたね(笑)。
――結婚はまだしなくてもいいと。
村川:そうですね、とりあえずは。結婚って素晴らしいなとは思いますけど、それ以上に窮屈なことのほうが多そうで。地元の友達とも約束をしたんですよ。
――約束?
村川:中学3年生のときに「一生独身を貫く」って……。もし結婚したら5万円払うって……。しかも3人に言っちゃったから、合計15万円(笑)。今でも、その友達に会うと「覚えてる?」ってよく言われますよ。
――親御さんは?
村川:母からは「結婚するな」って。
――どういうこと?
村川:結婚に向いていない性格だからって。たぶん、窮屈になってすぐ離婚したくなるから、今は止めなさいって。どんなにいい人がいてもダメですって(笑)
――厳しい~。つまり、村川さんは結婚するタイプではなく、一生恋愛するタイプなんですね。
村川:そうあれたらいいですね。恋多き女として(笑)。もっとも、女優という仕事はいろんな恋ができますからね、架空ですけど。
――恋人役の俳優さんに、本当に恋しちゃったりは!?
村川:10代の頃は恋愛経験があまりなかったので、相手の役者さんにドキドキしちゃったり、ちょっと引きずったりもしましたよ。でも、今はないですね。むしろ、終わったらスパッと忘れて「疲れた~」って(笑)。
――もしつきあうならどんな人がタイプ?
村川:年は上でも下でもどっちでもいいんですけど。私、普段は関西弁で、ついちょっとキツめなことを言うことがあるんです。だから、それを受け止められる人……って考えたら、年上かな。
――ちなみに、お酒はイケるほうですか?
村川:私、唎酒師(ききざけし)の資格を持っているんです!
――それは珍しいですね。
村川:元々、日本酒とワインが好きだったんです。最近は和に触れることが多くて、日本酒のことをもっと知りたいと思って、取ったんです。でも正直、勉強不足のところがあって、まだ唎酒師を名乗れないなって(笑)。女友達とは「和服を着て、ちょっとドヤ顔で日本酒を飲みに行こう」とは、よく話しているんですよ。
――村川さんが和服姿でお店にいたら、女将さんに間違えられそうですよ。
村川:そうなったら、接待トークで良ければ、してあげられますよ(笑)。
静謐さの中に、どこか強さが感じられた村川さん。一人の女性として、女優として、これからも大きな飛躍を遂げることでしょう!
村川絵梨 むらかわ・えり
1987年10月4日、大阪府生まれ。A型。T163。2004年、映画『ロード88』で本格的女優デビュー。2005年NHK連続テレビ小説『風のハルカ』のヒロイン役に抜擢。以降、多くのドラマ、映画、舞台で活躍中。最新作にはドラマ『荒地の恋』『私の青おに』、『木曜時代劇ぼんくら2』、映画『ポプラの秋』舞台『たとえば野に咲く花のように』など。8月3日に写真集『Miles Away』(ワニブックス)が発売となる。