いいこと思いついた!牛のおしりに目玉を描いてライオンを撃墜する「i‐cow」作戦(アフリカ)
[画像を見る]
牛をライオンから守るため科学者たちが考えついたのは牛のお尻に目を描くことだった。
馬鹿げたアイデアのように聞こえるかもしれないが、これは牛を守り、なおかつ牛を襲ったライオンを殺す人間を減らす最善の策だという。
[動画を見る]
Scientist paints eyes on the back of cattle to stop lions hunting them
真の目的はライオンを殺す人間からライオンを守るため
一見、かわいそうな牛を守るための戦略のようだが、実はこれ、目的は絶滅の危機に瀕しているアフリカのライオンを人間の報復から守ることである。
ライオンは国際自然保護連合の絶滅の恐れのある生物種のリストに入っており、現在の個体数は2万3000匹から3万9000匹。その数は急激に減っている。
「ライオンたちの保護地域も徐々に縮小され、ライオンは活動範囲を広げざるを得ず、人間と衝突する機会が急増している」、オーストラリアにあるニューサウスウェールズ大学の生態系科学センターに務める保全生物学者のニール・ジョーダン博士は語る。
餌を求めライオンは家畜を襲い、その結果多くの農家が射殺したり毒を使ってライオンを殺すことになる。彼らには非致死的な方法で家畜を守る手段がないのだ。
人間と家畜がライオンと共存できるよう、ジョーダン博士は、ライオンの攻撃とそれに対する人間の復讐が止むことを願って低予算の戦略を考えた。
そのアイデアとは牛のお尻に威嚇する様な目を描くことだった。これによりライオンは見つかったと錯覚し、狩りを諦める、という仕組みだ。
[画像を見る]
捕獲者たちの中には、目が合いその姿を確認されると捕獲を諦める種がいるということを科学者たちは知っていた。例えば、インドの木こりは長い間目を描いたボロボロのマスクを頭の後ろにつけ、人間を食べる虎から自らの身を守っていた。また羽に目の模様がある蝶も、その目でプレデターの鳥たちを遠ざけている。
ジョーダン博士は、ライオンがインパラアンテロープを襲う場面を見て、牛のお尻に目を描くアイデアを思いついたという。
「ライオンは奇襲攻撃型のハンターです。こっそりと獲物に近づき、姿を見られないうちに飛びかかります。しかし、私がその狩りの様子を見ていた時、インパラがライオンに気付いたのです。そして、自分が目撃されたことに気付いたライオンは狩りを諦めたのです」と博士はアイデアを得た経緯を話してくれた。
[画像を見る]
昨年、ジョーダン博士はボツワナ・プレデター・コンサベーション基金(BPCT)の協力を得て、“iCow”と名付けた実験を行ってみた。
研究者たちは62匹いる牛の3分の1の牛のお尻に目を描き、毎晩戻ってくる牛の数を数えた。10週間が経過すると、期待が持てる結果が出た。目の描かれていない牛が3匹ライオンに襲われ死亡、目の描かれている牛は一匹も死なずに帰って来た。しかし、iCowの効果なのかどうか、それともただラッキーだったのか、実例の数が少ないためはっきりしなかった。
そして今月、ジョーダン博士の研究を続行するため、オーストラリアの自然保護活動家たちがボツワナに戻った。博士はクラウドファンディング、Experiment.comで約80万円以上の資金を集めることに成功。10個の牛用GPSロガーと、1個のGPS無線首輪を購入し麻酔をかけた野生のライオンに装着した。
ジョーダン博士とチームは60匹の群れの牛のおよそ半数の牛のお尻に目を描き、GPS装置を付け、牛とライオンの動きを観測し、iCowの効果を調べた。
もし偽の目が牛をラインから守ってくれるならば、ボツワナの農家の人々に家畜をライオンから守る持続可能な手段を提供することができる。そして同時にライオンを人間の報復から守ることもできるのだ。
experiment・odditycentralなど、/ translated melondeau / edited by parumo
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』