【不朽の名作】頼むからタイトルを「Last Friends」だけにして欲しい「きけ、わだつみの声 Last Friends」 (2/3ページ)
本編は勝村・相原のフィリピン戦線派遣組、特攻隊に志願した芥川、島に逃げた鶴谷の3つのストーリーが同時に進む。驚くべきことに、『きけ わだつみのこえ』を元にした展開は芥川の話でしか用意されていない。メインは尺の使い方を見ても、勝村・相原のフィリピン戦線派遣組だが、この戦場がまた凄い。輸送船がボカチンされ、隊は壊滅状態。命からがら上陸し、米軍迫る中、野戦病院にいると、的場浩司演じる大野木上等兵がぶんどったバイクとブローニングM1919重機関銃を担いで颯爽と登場。体中ベルト弾帯を巻きつけ、赤いバンダナを頭に巻いた大野木の姿は、どうみてもランボーだろこれ。この初登場シーンは劇中でも屈指の笑いどころだ。さすがにこれはやりすぎだろう。
しかも大野木は慰安婦を連れての撤退で、この2人だけまるで『兵隊やくざ』のノリだ。明らかにこのタイプの映画に登場させてはいけないキャラだろう。途中でこの2人は別行動を取るのでまあいいのだが、その後の展開も微妙なのが困るところ。まず、すでに軍隊としての機能を失い、思い思いに飢えに苦しみながら撤退する人々とは到底思えない。とにかく騒ぎすぎなのが凄く気になる。従軍看護婦を連れているとはいえ、敵に発見される危険性もあるのに水場で大騒ぎ。さらに、飢えてそんな大声も出せないはずなのに、太ももを食いちぎられた友軍兵の遺体を見て「人を食ってるー!」の大絶叫だ。本来なら極限状態での人肉食は、市川崑監督や塚本晋也監督が撮った、大岡昇平原作の『野火』のように、それだけで1本の作品になってしまうほど重いテーマだ。“ただ入れただけ”感が非常に強い。これで何を感じろというのか…。
勝村の最期のシーンは、この作品屈指の迷シーンだ。負傷している相原と従軍看護婦を残し、少尉である勝村以下2名の兵士でラグビーのトライに見立て、手榴弾袋を持ち、敵戦車と陣地に肉弾攻撃をかける。「どんだけ距離あるんだよ!」とツッコミを入れたくなるような位置から、猛烈な砲火の中を進んでいく。多分これ、勝村は時速100キロくらい走っているだろう。しかも、弾に当たっても、よろめきながらも動く。ちなみに、当時のM4中戦車に搭載されているブローニングM2重機関銃は12.7ミリのライフル弾で、人体が一発でも食らえば、その部分周辺が消し飛ぶくらい威力がある。