美食の殿堂「北島亭」でいただく / クラシックな「骨太フランス料理」を堪能

東京メインディッシュ

美食の殿堂「北島亭」でいただく / クラシックな「骨太フランス料理」を堪能

コース料理
15000円

日本に住むフレンチ好きで、その名を知らぬ者はいないであろう「北島亭」。よしながふみの名著『愛がなくても喰ってゆけます』に登場したことでも有名な、老舗フランス料理である。

・骨太な料理を出す
そう「北島亭」はフレンチなどという生易しいものではない、「仏蘭西(フランス)料理」と漢字で書くに相応しい、骨太な料理を出すことでも知られた老舗の名店でもある。

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・日本を代表するフランス料理店
JR四谷駅から歩くこと5分ほどで、その料理店のそっけない外観は姿を見せる。ここに日本を代表するフランス料理店がある。

たんなる街の洋食屋と思い、気づかずに入って仰天した人も過去に何人かはいるにちがいない。

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・シェフ自ら組み立てた特別仕様
まずはグラスのシャンパンで喉を潤し、本日のメニューを確認。

今回は常連さんに連れてきてもらっため、平素のメニューではなくこの日のためにシェフ自ら組み立てた特別仕様である。

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・極上の料理を堪能
ここで大事なことをひとつ。北島亭で出される料理は並のフランス料理が太刀打ちできないほどの量の多さゆえ、決して「小腹を空かせた」くらいで訪ねてはならない。

できることなら、限界まで腹を空かせた状態で臨んでほしい。極上の料理を堪能するために。

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・一つ一つ丁寧に説明
腕を振るうのは、数々の名店で修行経験のある北島素幸シェフと、大石義一シェフ。厳選して仕入れたばかりの、いずれも新鮮な食材をテーブルに載せ、一つ一つ丁寧に説明してくれる。期待は最高潮に達する。

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・北島亭コース料理の幕開け
食材の説明のあとは早速アミューズが登場。ツブ貝のマリネと、メロンのスープ。

プリプリとした食感のツブ貝に、メロンの爽やかで甘い果汁がほどよく空腹を落ち着かせてくれる。いわば北島亭コース料理の幕開け、乙なアミューズだ。

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・珠玉の前菜
次に、オードブル1品目。「北海道産 生ウニのゴールドラッシュのムース」。

鮮度抜群のウニの、蕩けるような舌触り。アクセントには香ばしい焼きトウモロコシ。じゅん菜が夏らしい爽やかさ添えている。ゼラチンには牛のスネ肉などを使用しており、正直に言って今まで、こんなに濃厚でありながら喉ごしの良いウニのムースを味わった経験はない。

食べ終わってしまうのが寂しい…心からそんな声が漏れ出た、珠玉の前菜であった。

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・細部まで手を抜かない北島亭
オードブル2品目は、「イタリア産・ラパンのパテ・アンクルートと千葉県産・黒鮑のポッシェ」。

ラパンとはウサギ肉のこと。日本ではあまり馴染みのない食材だが、欧州では定番ともいえるジビエ。シェフの言うように全く臭みがなく、なんなら牛や豚よりも柔らかくておいしいー!

パテ・アンクルートとはパイで包んだもので、包まなければテリーヌ。パテ表面に描かれたウサギの絵がとてもかわいらしい。さすが、細部まで手を抜かない北島亭のこだわりぶりだ。

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・極上の料理はまだまだ続く
傍らには、肝と黒にんにくのソースが添えられた蒸しアワビ。付け合わせの野菜ひとつとっても作りおきはしない主義の北島亭では、食べる直前に蒸す、茹でる、焼く。だからつねに出来立ての新鮮な食感のままいただけるのだ。

ちなみに絶品のソースにはついパンをつけて食べたくなってしまうが、ここでぐっと我慢。なぜなら極上の料理はまだまだ続くのだから…。

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・バターとにんにくソースたっぷり
そしてオードブル3品目は、「フランス産・セップのソテー」。

フレッシュなセップ茸は、まるでステーキのように肉厚でゴージャス!キノコとは思えぬ主役級の貫禄である。バターとにんにくソースたっぷりで、これでおいしくないわけがない。

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・濃厚スープは別添え
いよいよコースも中盤…ここで出てきたのが、究極のブイヤベース。

ハマグリ、車エビ、イカ、ホタテ貝、ムール貝などなど、これでもか、というほど丸ごと魚介類がゴロゴロ入ってるのに、それぞれが己の本領を目一杯発揮した、全く違う茹で加減。いっぺんに大鍋で茹でるのではなく、その具材に最も適した火入れで丁寧に調理しているというから驚きだ。

ちなみに出汁たっぷりの濃厚スープは別添えで、カップの中に入っているのも北島亭ならでは。

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・お肉料理がやってくる
ブイヤベースの付け合わせに、アイオリソース。ほんのり酸味を感じるソースは、魚介にもパンにもよく合う。

だが、このあとはいよいよお肉料理。もうパンは胃袋に入らない…。

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・ランプ肉のステーキ
お待ちかねのメインの肉料理は2つ、まずは満願寺唐辛子の添えられた「三重産 伊賀牛 A-5 ランプ肉のステーキ」。

ごろんとした肉の頂に、思わず「マウンテン……」という言葉が口をつく。

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・北島亭が愛されるゆえん
程よく噛み応えのある、赤ワインソースのかかった赤身肉。噛むたびに肉汁と旨味がじわりと染み出る。

そしてシェフが「あ、忘れていました」と持ってきたのがなんと松茸! 一流フランス料理店にしてこのアットホーム感も、北島亭が愛されるゆえんか。

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ちなみに、北島亭にオーブンはない。

「肉は塊で焼いたほうが絶対に旨い」という信念のもと、仔羊のローストでもローストチキンでも、フライパン一本で焼き上げる。ゆっくり、じっくり、肉を休ませながら火入れをしていくので、仕上げはしっとりやわらかく、絶妙な焼き加減となるのだ。

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・素材の味を殺さない限度ギリギリまで塩
そしてもう一つの肉料理、「仔羊の岩塩包み焼き」。個人的に、ウニのムースと並んで最も楽しみにしていた料理だ。やわらかい羊ひれ肉は、断面はレアなのにしっかりと火が通っていて、ナイフを入れるとジューシイな肉汁が溢れる。

ソースは、肉の筋や脂を、野菜と一緒に煮込んでジュを取ったもの。つぶしたニンニクを乗せていただく。岩塩でしっかり味付けしただけあって、塩が効いているが決してしょっぱくない。

まさしく、よしながふみ氏が言うところの「素材の味を殺さない限度ギリギリまで塩をふる」フランス料理だ。何度も食べてるはずのラムなのに、初めての感動がそこにある。

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・マスタードがアクセント
そして羊のあばら骨の周りの、かぶり部分のローストに、マスタードを塗ってパセリを振りかけたもの。

実はこれ、胃袋が完全にキャパオーバーで口にすることができなかった。無念…。なんといっても、ここまでで既に9品も食しているのだから…!

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・まさかの全部のせ!
と、ここでお口直しのフルーツ(すいか)が。女性はカットされたもの、男性はそのまま、というのが面白い。

ラストは、やはりディセール(デザート)。ワゴンの中から選ぶのかと思いきや、まさかの全部のせ!

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・満員電車状態の胃
洋酒をたっぷり使ったクレームブリュレ、いちじくのタルト、マンゴーのチーズケーキ、フレッシュな桃のソルベなど、どれも手作りで絶品だが、もはや満員電車状態の胃には、一口ずつがやっと。

願わくば、毎日一つずつ食べたかった。

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・持ち帰り用あり
さらにさらに驚くべきは、この後にも焼き菓子のデザートがあること。

さすがにこれは誰も手をつけられなかったので、持ち帰り用に包んでもらった。

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・リーズナブルな気さえしてくる
ちなみに飲食代は、グラスシャンパンに赤白のワインを1杯ずつ飲んで、合計17700円(一人)。

高額には違いないが、これだけのクオリティの料理を堪能したあとでは、むしろリーズナブルな気さえしてくる。

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・珠玉の名店
シェフの深い深い愛情がこもった、北島亭の料理の数々。王道のフランス料理を知りたかったら、一度は訪れるべき、珠玉の名店である。

筆者は、あまりにも素晴らしい料理に出会えた幸福と引き換えに、これから何を食べても、これに比べれば大して美味しくないという不幸をも、同時に手に入れてしまった…。

もっと詳しく読む: (東京メインディッシュ) http://main-dish.com/2016/08/19/kitajimatei/

北島亭
住所: 東京都新宿区三栄町7 JHCビル1F
時間: 11:30~13:30 18:00~19:30
休日: 水曜/第1火曜/第3火曜
http://tabelog.com/tokyo/A1309/A130902/13000945/

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