【プロ野球】「俳句の日」に考える、俳句と野球の深淵なる関係 ~小石博孝(西武)、巨泉、正岡子規、俳句甲子園~ (2/2ページ)
■「草茂み ベースボールの 道白し」
野球と俳句、というテーマで欠かせないのが文豪・正岡子規だ。1884(明治17)年、東京大学予備門時代にベースボールを知り、自身も熱中。郷里の松山にバットとボールを持ち帰り、松山中学の生徒らにベースボールを教えた。
また、「久方の アメリカ人の はじめにし ベースボールは 見れど飽かぬかも」「今やかの 三つのベースに 人満ちて そヾろに胸の 打ち騒ぐかな」など、野球を題材とした短歌、俳句を数多く詠み、幼名の升(のぼる)にちなんで「野球(の・ボール)」の俳号を使用したことでも知られている。
もっとも、これはベースボールに対する訳語ではなく、あくまで自身の俳号として使っていたもの。その後、中馬庚がベースボールを野球(やきゅう)と翻訳。一方の正岡子規は「打者」「走者」「四球」「直球」「飛球」などの訳語を生み出した。
2000年、郷里の松山に誕生した球場名は、夏目漱石の作品名にちなんで「松山坊っちゃんスタジアム」。ただ、球場そばには「草茂み ベースボールの 道白し」という子規が詠んだ句碑が建立されている。没後100年の2002年には野球の普及に多大な貢献をした評価で、野球殿堂入り(特別表彰)を果たした。
■「春光や 命漲る グラウンド」
さて、そんな正岡子規の名が甲子園で話題になったのが2015年のセンバツ大会。母校、松山東(旧・松山中)が82年ぶりにセンバツ出場を果たしたからだ。
この松山東出場で気を利かせたのが選手宣誓を務めた敦賀気比の篠原涼主将。選手宣誓において「グラウンドに チームメートの 笑顔あり 夢を追いかけ 命輝く」と短歌を織り交ぜ、注目を集めた。
ここまでは当時、ニュースでも大きく取り上げられたため、ご存じの方も多いだろう。この選手宣誓エピソードには続きがある。松山東の応援のため甲子園に駆けつけた同校俳句部が、選手宣誓で詠まれた短歌に対して、返句となる俳句を詠んだのだ。
「春光(しゅんこう)や 命漲(みなぎ)る グラウンド」
さすがは俳句甲子園の開催地、松山市の高校といえる。実際、松山東俳句部は、「俳句甲子園」で優勝2回を誇る名門校だ。
そんな「俳句甲子園」。今年は8月20日、21日に行われる。夏の甲子園同様、高校生の熱い戦いに注目だ。
(文中、敬称略)
文=オグマナオト