死亡者が毎年続出?明るみになった中国の”軍事的教育”の実態 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■明るみに出た死亡事故

 死亡した高校生の日記はメディアにより公開され、国内で大きな話題となりました。ネット上には「私の子供も現在、軍事訓練を受けています」と子供の健康を不安視する声や、「高温注意報を無視する学校側に責任がある」、「軍事訓練クソ食らえ!」「実は私の学校からも死者が出ました」などと現在の中国の教育体制を批判したり、「私たちの命は安かった」、「軍事訓練は洗脳教育だ」と、過去に体験した軍事訓練の苛烈さを訴える声が寄せられました。今まで中国社会に根付いていた問題がようやく明るみになりました。

 今回の記事を記述するにあたり、日本の知人から伺ったところ、日中戦争〜太平洋戦争下の日本では学生たちに軍事的な愛国主義を植え付けるために、体罰などを用いた過酷な指導が学校内で行なわれていたそうです。そして同じような教育が中国では現在進行形で行なわれています。

 戦術の知人によると、戦前の軍事教育に対する反動、または政府主導の「ゆとり教育」の影響から、現在の日本の学校では教育者による体罰や恫喝といったあらゆる高圧的な指導方法が禁止されているそうです。体罰や恫喝を肯定するわけではありませんが、あまりにも行き過ぎた過保護な教育は、学生たちのモラルの低下や愛国心の欠如につながると僕は思います。

 日本の左派・リベラル層は「軍国主義」、「戦前回帰」をかかげ、平和的なゆとり教育を推進し続けました。しかし、彼らが否定する時代錯誤な軍事教育は中国でこそ行われていること、標的は「日本」に向けられていることを左派・リベラル層の人たちには知ってもらいたいと思います。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

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