【年収305万でも貧困!?】お金だけじゃない!“貧困”のラインとは…?
みなさんは“貧困”と聞いたらどんなことをイメージしますか?
今にも崩れそうなボロボロの家に住み、食べることすらままならない状況で暮らす。
なんて極限状態で生きている人たちのことをイメージするかもしれませんが、実は“貧困”というのは、もっとありふれたものなのです。
そんな人々の認識の違いによって、ネット上でとある女子高生が話題となっています。
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NHKで放送された“貧困JK”が話題に…
話題になっている貧困女子高生の番組は僕も見ていました。しかし、その女の子、そンなに責められなくてはいけないの?家にエアコンついていても、壊れているのかもしれないし、節約で使っていないかもしれないし。娯楽にお金使っているそうだが、貧乏人は貧乏にしていないと気がが済まないとう心の狭さ
— 小池一夫 (@koikekazuo) 2016年8月21日
出典: Twitter
話題の引き金となったのは、NHKで“貧困”問題の一例として取り上げられたとある女子高生でした。
番組内では、母子家庭で育った彼女の家は決して裕福とは言えず、パソコンが買えずに千円のキーボードで文字を打つ練習をしたり、「アニメーション関係の仕事に就きたい」という夢を持っていながら、お金の関係で進学をすることができず、断念せざるを得なかった、というエピソードが語られていました。
しかし、自室に飾られていた趣味のコレクションや外食に行ったことをSNSで投稿していたことが暴露され、「これは貧困とは言えない」という批判が起きてしまったのです。
確かに、彼女の生活は生きていくことすらできない、絶望的なまでの貧困とは言えませんが、批判を受けるほど貧困ではなかったのでしょうか?
貧困の定義とは一体なんなのか、それを少しだけご紹介します。
貧困の定義とは…?
まあ年収100万以下でもネットできるし、車ももてる。ただし車両保険も払えるかギリギリで、健康保険は無理で、年金も全然ダメで、一見して他の人と変わらない生活はできるけど、なんかトラブルがあったら即座に詰む…みたいな、そういう貧困もあるのは…本当にあまり認知されてないねー。
— 我乱堂 (@SagamiNoriaki) 2016年8月21日
出典: Twitter
厚生労働省が発表した『各種世帯の所得等の状況』によると、現在日本の平均所得は一世帯あたり541.9万円です。
しかし、その世帯所得も「100~200 万円未満」が13.6%、「200~300万円未満」が14.0%、「300~400万円未満」が13.1%と、平均を下回る家庭が3分の1ほどの割合を占めています。
OECD(経済協力開発機構)によると、“貧困”の定義とは「一定基準(貧困線)を下回る等価可処分所得(手取り収入を世帯人員の平方根で割って調整した所得)しか得ていない者」のことを言います。
日本の場合、等価可処分所得の中央値は274万円というデータがあり、その半分の137万円未満の人が貧困層ということになります。
例えば、夫妻と子ども2人の合計4人家族の世帯ならば、年収305万円で社会保険料や税金などを差し引いた可処分所得が274万円、それを4人の平方根の2で割った数値が137万円となるので、年収305万円以下だと“貧困層”となってしまうのです。
まず、相対的貧困率と絶対的貧困率を勉強しましょう。貧困を「自分基準」にしている方が見受けられます。困っていることは理解できます。しかし、困っている方が困っている方を叩くという現状は最悪です。
— 三宅雪子(自由社会は沈まず) (@miyake_yukiko35) 2016年8月21日
出典: Twitter
年収305万円でも“貧困層”となってしまうことには驚きですが、これはに貧困に2つの種類があることが関係しています。
1つは衣食住もままならず、飢餓で苦しんだりと普通に生活するのが絶望的であり、生きるのすら危ぶまれる「絶対的貧困」。これは日本においてはかなり珍しいケースです。
もう1つは「相対的貧困」。これこそが先述した“貧困層”のことであり、今回の一件で言う“金銭的問題で進学ができない”というのも、その例の1つなのです。
母子家庭の貧困率は約66%!?
貧困問題でがっくしくるのは、母子家庭の貧困って私が学生の頃からずっと問題が言われ続けてでもずーっと状況が変わっていない。平均年収180万は衝撃すぎ。どんな対策がたてられてきてどうして改善が見られないのかって歴史的経緯がきになる。
— oniku (@c_h_g_s) 2016年8月22日
出典: Twitter
今回話題となった女子高生のように、母子家庭というのは貧困に陥りやすい原因の1つです。
平成23年度に厚生労働省が実施した「ひとり親世帯の平成22年の年間収入」の調査結果によると、母子家庭の平均年間就労収入は約181万円と、等価可処分所得が“貧困層”のボーダーである137万円には届いていません。
養育費や手当を合わせた年間収入が平均約291万円となっているので、それによって137万円に届く人もいるかと思いますが、その割合は約66%にも及ぶと言われています。
目に見えるところだけにはとどまらない“貧困”の問題。
頑張って働いたとしてもこれだけの人たちが貧困となってしまうのです。
日本から貧困をなくすためには、社会の政策だけでは解決できないかもしれませんね。