なぜ被害者が責められるのか?被害者を責めるのはどんな人?(米研究)
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被害者を責める人/iStock
被害者はその苦しみから多くの同情を集めると共に非難されることもある。被害者を非難するのは誰なのか?
2016年の研究によると、被害者自身に責任があると非難する人は、集団的結束を重んじる人に多いと言う。
『ニューヨーク・タイムズ』紙の論説で最近扱われた一連の研究において、リアネ・ヤング(Liane Young)博士とローラ・ニエミ(Laura Niemi)博士は、被害者に対する態度において道徳的価値観が果たす強力な役割について説明している。・個別化的価値観と結束的価値観
本研究は道徳基盤理論(Moral Foundation Theory)に基づく信頼性の高い調査を利用し、2つの対極にある価値観を測定した。
その結果、結束的価値観への承認が上昇するほど、被害者への批難や責任を問う声、被害者の行為がその結果を招いたという認識などが上昇した。
個別化的価値観:
どんな場合であっても人に危害を加えるべきではないし、人々は平等に扱われるべきであるという価値観
結束的価値観:
集団や和を大事にし、権威に対する忠誠心や服従心が高く、純潔を重んじる価値観
つまり簡単に言うと、この結果が示唆するのは、ある人が集団所属意識、忠誠、服従、純潔を過度に重視している場合、その人物は被害者の責任を問い、批難する可能性が高いということである。また、結束的価値観を受け入れる人ほど、政治的に保守に傾く傾向が強まるという。
とは言え、価値観と被害者/加害者に対する態度との関連は、政治的傾向に関わりなく抱かれるものだ(また、性別や宗教とも関係がない)。
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・結束的価値観が被害者を責める理由
結束的価値観は人々を緊密な個人関係に結びつける絆を重視する。一方、個人化的価値観は博愛や公正さを重視する。
結束的価値観は例えば、所属集団に対して忠実であるために、ある人間に対して外部の集団に属する者を冷遇するよう求める。あるいは権威への服従の証として、他人に対する攻撃命令に従うよう求めるといったこともある。
また、グループによっては、純潔の維持が村八分や名誉殺人の動機になる可能性もある。結束的価値観の高まりから被害者に苦痛を与えているという事実に鈍感になるのだ。集団心理が引き起こす数々の事件もこの一種だろう。
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・ならば結束的価値観は抑制すべきなのか?
忠誠、権威の尊敬、純潔の維持という結束的価値観は、社会を機能させ、人間関係を平穏に保つのにある程度必要なことではある。
個人化的価値観のカウンターバランスとして、生活や子育てで必要が生じたときに友人や近所からの支援を確保してくれる。この価値観が健全なグループや人間関係の基盤となっているのであれば、責めるのは筋違いかもしれない。
しかし、人権を無情にも無視させるよう動機付けているのであれば、そうした事態が起きる状況や理由を割り出し、介入を検討することが必要となる。
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・被害者への批難を防ぐには?
直観に反することであるが、この研究では被害者に向けられる言葉が少ないほど、被害者への共感が増す可能性が示唆されている。
実験的に、ある状況に関する文章の大部分で、主語として使用される加害者と被害者の位置を操作してみた。
例えば、被害者のリサと加害者のボブが登場する事例で、被害者を焦点とするケースでは「リサはボブによって近寄られた」とし、加害者を焦点とするケースでは「ボブはリサに近づいた」といった具合に互いの位置が入れ替えられた。
すると、加害者を焦点とするケースでは、「どうすればこの事件を避けることができたか?」という質問において、被害者への批難、被害者の責任、被害者の行為に対する言及の度合いが減少したのである。
この効果は、道徳的価値観が被害者の判断に与える影響に加えて観察された。このことは、犯罪を説明する文章において、「言葉に配慮」することで被害者への批難を緩和できる可能性を示唆している。
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・言葉と価値観がともに影響
この研究で得られた結果は、被害者と加害者に対する態度において個人の価値観が果たす強力な役割、ならびに言葉の焦点が示す軽微な役割を浮き彫りにした。
道徳的価値観は、様々な心理的プロセス(汚染、損害、責任の分配の認識など)を被害者-加害者というダイアドにおける予測可能なパターンに変換する主要なフレームワークを構成する。それでも言葉は重要である。
■追記(2020/07/26):2016年8月に掲載した記事を再送してお届けします。
via:Who Blames the Victim?/ translated hiroching / edited by parumo
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