金正恩氏があわてふためく「スパムメール」の中身 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

現地では「内容が似ていることから、送り間違いではないか」との声も聞かれるというが、「党を批判する内容のメッセージが不特定多数に送られたことから、単純な『送り間違い』とするには無理がある」と取材協力者は分析する。

通常、韓国政府や民間団体が北に向けて飛ばすビラの場合はどうだろうか。ビラには金正恩体制を露骨に批判する内容が書かれていることがほとんどのため、保衛部や保安署(警察)が一帯を封鎖し、軍や赤衛隊(民兵組織)が回収に当たるなど、当局は慎重にことを進める。

今回、保衛部が内容を公開し、住民の自主申告を迫った背景には、メッセージが金正恩氏をはじめとする金氏一族を直接的に批判するものではなかった事情があると見られる。だが、住民に知らせることで、スパムメッセージという「新たなビラ」の存在を周知させることになる事実も否めない。「被害範囲」をただちに知ることが難しいためとはいえ、当局が対応に四苦八苦している様子が垣間見える。

2008年にサービスが開始された北朝鮮国内の携帯電話の利用者は、すでに300万人を超えている。インターネット接続が一般住民には許可されていないとはいえ、この新たなツールが体制を揺るがす爆弾になり得ることは、ここ数年、北アフリカや中東で起きた民主化運動の例からも、北朝鮮当局は熟知しているはずだ。

現在、この国境都市以外での場所では、スパムメッセージの存在は確認されていない。新たなステージの幕が上がったと見るべきなのか、はたまた単なる偶然の産物なのか。デイリーNKでは事件の推移を追っていきたい。

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