難しい質問をされたときは答える前に必ず「3秒待つ」といい理由

Suzie(スージー)

難しい質問をされたときは答える前に必ず「3秒待つ」といい理由

『47原則―――世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?』(服部周作著、ダイヤモンド社)のもとになっているのは、マッキンゼー・アンド・カンパニーでさまざまなプロジェクトに従事してきた著者によるメモ。

ただ書きためるだけではなく、おぼえやすいように工夫した図表をつけて記憶するという方法でつくられたもので、「ルールブック」と呼んでいるのだとか。

つまり本書は、著者がルールブックに書きためて実践し、「成果が上がった」と実感した仕事の進め方や、社内外のリーダーがさりげなくこなしている効果的な手法を聞き出し、「47原則」にまとめたもの。

きょうはそのなかから、「3秒」の重要性に関する記述をご紹介したいと思います。

■わざと立ち止まって3秒待つべし

ビジネスにおいて、大きな利害が関わっている場合は、質問への回答に迷うことがあるものです。

「(こう答えたら)さらに難解な質問を浴びせかけられるのではないか」と不安になってしまったり、はるか上の上司たちの視線が背中に突き刺さるのを感じたり、あるいは、「全員に印象づけなければ」と焦ってしまうこともあるでしょう。

しかも、相手が経営幹部レベルの重役や、重要なクライアントである場合は特にプレッシャーが大きくなるため、「さっさと答えてしまいたい」衝動にかられもします。

しかし、そんなときこそ、わざと立ち止まり、「1、2、3……」と3秒数え終わるまで待つことが大切だと著者はいいます。

■答える前には間をおくといい理由

著者がマッキンゼーで教わった最善のアドバイスのひとつが、「難しい質問に答える前には必ず間をおくこと」。そして間をおく理由は、おもに3つあるそうです。

(1)反応し、考え、最良の回答を考えるための時間を稼ぐ

(2)沈黙はあなたの回答の重みを増すので、聞き手はより高い価値を感じる

(3)劣勢の場合や緊迫した状況では過剰に反応しやすいため、間をおいて気を静める

また、質問を分類ごとに把握しておくことが、常に聞き手に先回りするコツ。たとえばプレゼン後の典型的な質疑応答の場面では、質問はだいたい次の4つに分類できるといいます。

(1)事実確認・情報収集型「X社の市場占有率は何%ですか?」「稼働率が75%未満の工場はいくつありますか?」

(2)発見型「いますぐとるべき行動はなんですか? その優先順位は?」「『デジタル化したほうがいい』とおっしゃるなら、当社にどんな能力が必要ですか?

(3)評価・比較型「2つのベンチマークを比較する場合、成功の主要因はなんですか?」「Cに与えるインパクトをどう評価しますか?」

(4)挑戦型「なぜXについて調べなかったのですか?」「なぜもっと洞察力に優れた成果を出せなかったのですか?」

■100%正しく回答しなくていい

事実確認のための質問から、発見型、評価型、最後の挑戦型の質問に移るにつれて、回答にかける時間を増やすよう調整するといいそうです。

そうすれば、適切な見地から回答することができ、「経験豊かで信頼できる」という印象を強く抱いてもらえるから。

なお回答がいちばん難しいのは、理由や正当性を求める質問。そして陥りやすい落とし穴は、防戦に回ってしまうことだといいます。

また、「その場で100%正しく回答する必要のない質問もある」ということを頭に入れておくといいそうです。マッキンゼーではこれを「回答の術(art of evasion)」と呼んでいたのだとか。

大切なのは、難しい挑戦的な質問に対しても、まごつかずに答えられること。いかにも難しそうですが、著者によれば、これは誰にでも習得できるスキル。ただし、忍耐力と自信が必要。

■相手の本当の望みを見抜くべし!

たしかに、挑戦的な質問をしてくる人は、その場で正しい解答を期待しているとは限りません。

むしろ大切なのは、相手の本当の望みを見抜けるようになることで、それが成熟したリーダーとしてひと皮むけるために必要なことだといいます。

質問にすぐ飛びついて中途半端な解決策を提示するよりも、先送りするほうが賢明だということ。

より優れた判断と適切な言い回しを使って、できるだけ好印象を与えるように回答することが重要なのです。

そして最後の大切なポイントは「自信」。なぜなら、言葉に説得力をもたらすものは、得てして自分に対する自信だから。

そういう意味では、会議室に足を踏み入れた瞬間から、自信に満ちた態度を示すべき。結局のところは、それがいちばん重要なことかもしれないと、著者は記しています。

他にも「心の持ち方」「考え方」「コミュニケーション法」「思いやりの持ち方」など、「47原則」は多岐にわたっています。だからこそ、役に立つ部分が必ず見つかるはず。ぜひ一度、手にとってみてください。

(文/作家、書評家・印南敦史)

【参考】

※服部周作(2016)『47原則―――世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?』ダイヤモンド社

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