世界のベストセラーを作った「日本マンガ史」解体“深”書!(8)葛飾北斎の逆輸入が日本漫画に (2/2ページ)

アサ芸プラス

だがその直後にジャポニスムが猛威をふるったことは、意外と知られていない。

 ゴッホ、マネ、ロートレック、ルノワール、クリムト‥‥誰もが日本の絵画を買い漁り、着物や工芸品で自宅を飾った。そうした中、初期に最も注目されたのが浮世絵であり、「北斎漫画」だった。欧米漫画の原点は北斎にあるといっていい。

 江戸時代後期の画家・北斎の絵がヨーロッパで戯画として成熟し、明治維新以降に日本に里帰りして進化発展したものが日本漫画となった。日本の漫画が世界一であることは、いわば当然なのだ。

 日本独自の大和絵は、雪原に舞い降りる一羽の鶴を描く中に自分の感情を押し込めるという。俳句は17音に情景と胸懐を仕舞い込む。日本漫画にもその繊細な技法が取り込まれている。なぜ大和絵が、俳句が、そして漫画が日本で熟成したのか。それは「ドラえもん」という、他人を思う漫画が生まれる必然が、日本の歴史風土に閉じ込められているためだろう。

志波秀宇(しば・ひでたか)<漫画 研究家>:昭和20年東京生まれ。早大政経学部卒。元小学館コミックス編集室室長。元名古屋造形大学客員教授。小学館入社後、コミック誌、学年誌などで水木しげる、手塚治虫、横山光輝、川崎のぼるなどを担当。先頃、日本漫画解説の著書「まんが★漫画★MANGA」(三一書房)を出版した。

「世界のベストセラーを作った「日本マンガ史」解体“深”書!(8)葛飾北斎の逆輸入が日本漫画に」のページです。デイリーニュースオンラインは、正チャンの冒険のらくろ週刊アサヒ芸能 2016年 9/8号葛飾北斎漫画カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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