気分がすぐれない?なんでもいいから絵を描いてみよう。気分改善にお絵かきが最善である理由(米研究)
最近ではタブレットなどの普及で、デジタルドローイングなどのツールが充実している。他にも大人の塗り絵やお絵描きイベントなど、絵が大人の趣味として復活しつつある。
うまい下手は関係ない。多くの人々がお絵描きや塗り絵で気分が改善するという効果を体験しているのだ。だが、なぜお絵かきで気分転換になるのだろうか?
ニューヨーク私立大学ブルックリン校のジェニファー・ドレイク(Jennifer Drake)博士は、「お絵描きは感情のはけ口として不満や緊張を解消するのか? それとも一種の逃避なのか?」について研究した。
絵を描くことで嫌な気分が発散されてすっきりするのだと考える人もいるだろう。これはアートのカタルシス(精神の浄化)に起因するという見方だ。
しかし、研究結果は別の答えを指し示していた。「気分改善に効くのは、絵を描くことで嫌な気分から意識を逸らすことができるからです。これは情動表出の制御に関する文献の説と一致しています。つまり、嫌なこと以外のことを考えたほうが効果的なのです」

感情を絵で表現するより、無関係な絵を描く方が気分が改善されることが判明
被験者となったのは大学生40人。これまで起きた中で一番悲しかった出来事を思い出してもらい、それに関連する光景、音、思考、感情に集中するという課題を行った。それから15分間お絵描きをしてもらった。このとき学生は次の2つのグループに分けられている。
1:お絵描きで注意をそらすグループ:
このグループでは、悲しい出来事とはまったく無関係のものを描くように指示される。具体的には、足元を見て靴を描くように指示される。またその際に「お絵描きをつぶさに観察するための手段として用いてください」と伝えられる。狙いは、不幸な考えや感情から気をそらすことだ。
2:お絵描きで表現するグループ:
このグループでは、思い出した悲しい出来事について描くよう指示される。「お絵描きで感情を表現してください」と伝えられる。
この手順は1日に4回連続で繰り返された。また、実験中、様々なタイミングでアンケートに回答してもらい、そのときの感情を計測した。
その結果、表現するよりも、注意をそらしたほうが気分が改善されることが明らかとなる。セッションの一回一回を終えた後においても、全セッションを終えた場合であっても結果は同じであった。現在ドレイク博士は、お絵描きによる気分改善効果を長期的に得ることができるか調査している。彼女の考えでは、定期的なお絵描きは、感情の自己メンテナンスに役立つはずだという。

絵を描くことは悪い感情の解毒薬に
ドレイク博士の発見は、悲しみ、緊張、不満、怒りといった感情をなだめる手段として絵画を嗜む人たちへの青写真となるだろう。
お絵描きだけでは、専門家による治療の代替手段となならない。しかし、そのような治療を必要としない通常の悪い感情に対する解毒薬、あるいは精神疾患の治療における補助的な手段とはなる。
もちろん本格的にアートを志し、この世界で苦しむ人間の姿を表現しようというのならまた別の話だ。だが、ただ気分転換をして、いい気分で過ごしたいだけだというなら、次のアドバイスを読んでおこう。
気分転換として絵を用いる場合の処方箋
描く過程を意識しよう
描いているものにきちんと集中して、それまで考えていたことや、感じていたことを手放すこと。
ニュートラルな感情で向き合える対象を選ぼう
お絵描きの目的は、嫌な気分から意識をそらすことだ。題材としては靴のような現実に存在するものでもいいし、想像上のものや、デザインでもかまわない。
お絵描きはいつでもどこでも手軽にできる。芸術の技術や高価な道具は必ずしも必要ない。楽しいし、手軽だ。15分絵を描くだけで気分がよくなるのだから、少なくとも短期的にはシンプルかつ強力な手段であることは間違いない
via:psychologytodayなど、/ translated hiroching / edited by parumo