世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第189回 なぜ日本はデフレ脱却できなかったのか? (2/3ページ)

週刊実話

国債はモノでもサービスでもない、ただの借用証書にすぎない。国債を日銀当座預金残高という「お金」で買うのみで、インフレになるわけはないのだ。
 しかも、あまりにも日銀の量的緩和政策が長期化し、金融市場から国債が尽きつつある。すでに国内の預金取扱機関(銀行など)が保有する国債は、200兆円前後「しか」ないのだ。日本銀行は、毎年80兆円の純増という凄まじいペースで国債を買い入れている。このままでは近い将来、国内の市中銀行の国債がなくなり、日本銀行の量的緩和政策は強制終了になりかねない。
 量的緩和政策の拡大は、もはや不可能である。

 また、黒田日銀総裁は、マイナス金利政策の効果として「家計や企業にとって借り入れコストが下がる」ことを強調すると同時に、銀行の収益を悪化させるデメリットもあると説明した。相変わらず勘違いがあるとしか思えないのだが、そもそも日本の経営者や家計は別に、
 「借り入れコスト(金利)が高いから、お金を借りない。投資しない」
 などと考えているわけではない。単に、デフレの長期化で、企業にとってもうかる投資案件が存在しないのだ。あるいは、実質賃金が伸びず、雇用が不安定化しているからこそ、家計はお金を借りてまで住宅投資をやろうとは思わない。
 現実の経済を知らない経済学者たちは、「実質金利」(※名目金利から期待インフレ率を引いた金利)がどうのこうのと机上の空論を言い出すわけだが、実質金利を見ている経営者など、現実には一人もいない。見ているのは投資利益と名目金利のみである。
 この状況で日銀当座預金のマイナス金利の幅を拡大したところで、銀行からの貸し出しが増えるはずがない。単に、銀行の収益を悪化させるだけの結果となる。

 そもそも、デフレ長期化の主犯は国民でもなければ経営者でもない。さらには、銀行でもなければ日本銀行ですらないのだ。
 日本政府である。
 安倍政権が「戦後最悪の緊縮財政」を強行したからこそ、日本経済はデフレに舞い戻ってしまったのだ。悪いのは、安倍政権であり、消費税増税をはじめとする緊縮財政である。

 すなわち、日本銀行が金融政策の「総括」を実施するなら、結論は端から明らかなのだ。

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