世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第189回 なぜ日本はデフレ脱却できなかったのか? (3/3ページ)
「日本銀行は十分な金融緩和を実施したが、政府が消費税を増税するなど緊縮財政で需要を縮小させたため、物価目標の達成ができなかった」
これだけでいい。
しかしながら日銀は「政府の緊縮財政」という主たる問題から目をそらし、「物価が上がらないのは原油価格下落のせい」などと、少なくとも2015年後半以降は全く通用しない説明(※1年前と比べ原油価格は下がっていない)を繰り返してきた。
黒田東彦総裁は元財務官僚である。元財務官僚の立場として、財務省が推進し日本経済を「国民経済の崖」に突っ込ませた消費税増税等については沈黙を続けてきた。黒田総裁自身も、過去には'14年4月の消費税増税を推進する発言を繰り返していた。
ところが、驚くべきことに9月5日、黒田総裁は講演で、現在の物価低迷について「原油安や消費税増税、海外経済の減速が影響している」と説明した。ついに黒田総裁の口から「消費税増税」という言葉が出たのである。変われば、変わるものだ。
9月20日・21日の金融政策決定会合では、日本銀行にはぜひとも「消費税増税などの緊縮財政」により物価が上昇しなかったと正しく断じてほしい。原油安や海外需要縮小ではなく、「緊縮財政が諸悪の根源」との認識が広まって初めて、わが国は「財政政策による十分な需要創出」という正しい道を歩むことができるのだ。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。