進化したスポンジが、太陽光の力で水蒸気を発生させる (2/2ページ)

FUTURUS


■ 梱包材が活躍

そこで、こんどは表面を気泡状の保護材で覆うことにした。このアイディアは意外なことに、研究者のひとり、Gang Chen氏の16歳の娘の活動にヒントを得たという。彼女はサイエンスフェアの活動で、簡易的な温室を作っていたが、それは梱包に使うエアーキャップ(いわゆる“プチプチ”)などで作っていたにもかかわらず、冬場に華氏160度(摂氏71度)を実現していたのだ。

そして、透明度が高く、大きな気泡を使った“プチプチ”を使うことで、光は通しつつも、対流でスポンジから熱が奪われるのを防げるようになった。捕らえられた熱は、銅の層を伝わって、穴や導管に導かれる。そこに水が吸い上げられつつ、摂氏100度まで熱せられて水蒸気に変わっていくという仕組みだ。

source:https://news.mit.edu/2016/sponge-creates-steam-using-ambient-sunlight-0822

このデバイスは、すでに商業的に使われている吸収材と“プチプチ”というローコストな素材で作れるので、非常に幅広い目的に適用できるという。高価な鏡やレンズは使わずに、太陽光を使って淡水化装置や汚水の処理ができるようになる。

また、光学的に光を凝縮して使う太陽光装置のほとんどが、高価な部品とコストのかかるメンテナンスが必要で、10年、20年というサイクルで使用することを前提に作られているいっぽうで、このデバイスは、1、2年で交換する前提のものになるという。つまり従来とは異なるニーズの使いかたに対応できるわけだ。

現代においては、さまざまなジャンルに使われている素材、部品、装置がそれぞれ高度な進化を遂げている。それらを組み合わせると、また新しい機能を持ったものが、安価に作れる可能性が出てくる。この研究は、エネルギーの供給が安定しない地域で、安定した水の利用を可能にすることに貢献してくれそうだ。

【参考・画像】

※ Sponge creates steam using ambient sunlight – MIT News

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