昼間の教習所で、女の幽霊と会った話【ささや怪談】 (3/3ページ)

Jタウンネット


「いまの話だけど、普通の人みたいな幽霊だったんだな」
「そんな感じでした」
わたしは、誰も嘘を付いていないと仮定したうえで、話を進めた。疑ってばかりでは、お話にならない。
「もしも、ちゃんと生きてる人間と、ちゃんと死んでる幽霊の違いが無くなったら、どうなる?」
「たぶん、幽霊が出て来るハードルが、下がってゆくでしょうね」
「真っ昼間でも、ガンガン幽霊が出て来るわけだ」
「もしかしたら」
「そしたら、会ってみたい人とか、いる?」
「いませんよ。前田さんは、いるんですか?」
「いないな」
「嘘やん」
彼は、短くククッと笑った。
わたしは、旅行先で買った黒糖を噛みながら、助手席の窓を開けた。冷たい風が、車内に流れ込んで来る。わたしの小さな嘘は、たちまち飛散してしまう。
「もう忘れたよ」
それだけ言うのに、ずいぶん時間が掛かってしまった。
イデマチは、返事をする代わりに、アクセルを思い切り踏み込んだ。kuroihako.jpg筆者:前田雄大怪談団体「クロイ匣(ハコ)」の主宰者。関西を中心として、マイペースに怪談活動を行っている。https://twitter.com/kaidan_night
「昼間の教習所で、女の幽霊と会った話【ささや怪談】」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る