進むも地獄、退くも地獄…中国で脱北者を待つ過酷な境遇 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

「隣国の違法越境民を助けたり、匿ったりしたら罰金500元(約7700円)」 「隣国の外国人に強盗、物乞いされたら、金品を差し出し、命を守れ」

水害発生の約1週間後に開山屯を訪れた日本人によると、地元政府や国境警備隊は、脱北者がやってくることを警戒してか、パトロールカーが数分おきに村を巡回していたが、上記のような横断幕は見かけなかったという。脱北者は、水害直後より状況が落ち着いた今のほうが増えているものと思われる。

中国公安が、脱北者の急増に頭を抱えているのにはさらに理由がある。図們市の脱北者収容所は、水害以降に脱北し、公安当局に逮捕された脱北者で溢れかえっている。もちろん、一度北朝鮮を離れた脱北者は、そう簡単には帰りたがらない。送還されれば、待っているのは過酷な取り調べ。とりわけ女性らは性的被害など耐え難い境遇に置かれる。

北朝鮮の人々がおかれている過酷な状況を熟知している中朝国境の住民、とりわけ朝鮮族は長らく、脱北者を不憫に思って匿い、見逃してきた。地元の治安当局も、その存在に気付いても見て見ぬふりをしてきた。しかし、そうした温情も限界が来つつある。

生きるために北朝鮮を離れることを選び、命がけで中国に渡ったとしても、決して安住の地が待っているわけではないのだ。

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