【永田町炎上】知事選の結果に翻弄される「原発・エネルギー政策」 (2/2ページ)
■原発こそがベースロード電源だ
日本経済を本格的な回復軌道に乗せるには安価な電力の安定供給が欠かせない。安倍内閣は昨年、2030年の原発比率を20〜22%にする目標を掲げた。現在、日本にある原発は42基。建設中の「大間原発」を含めても43基だ。政府の電源構成目標を達成するには全国42基のうち30基程度の稼働が必要となる。
だが、これまでに原子力規制委員会に安全審査を要請したのは16原発26基。審査に合格して稼働中なのは、四国電力伊方原発と九州電力川内原発1、2号機の3基にすぎない。一度は再稼働に漕ぎ着けた関西電力高浜原発3、4号機はイデオロギーを司法の場に持ち込んだ不埒な大津地裁の裁判官によって3月に運転差し止め命令を受け、目下、停止したままだ。
原発は発電コストの安さや安定した供給力で他の電源よりも優れている。世界最高レベルの安全基準に合致し、安全性が確認された原発を再稼働して活用するのは当然だし、何も問題ないはずだ。
原発の代替電源の確保はおよそ非現実的だ。再生可能エネルギーは供給が不安定で、主要電源には向かないし、原発停止中は原油や液化天然ガス(LNG)など燃料コストの高い火力発電に頼らざるを得ず、「原発ゼロ」は電気料金の上昇を招き、筆者のような売れないモノ書きを苦しめる事にもなる。
本年9月1日時点で運転可能な原発は米国100基。フランス58基、英国15基、ロシア36基、中国34基、韓国25基、共産党が模範とするドイツでも8基が稼働中で、日本よりも多い。
■「パリ協定」を遵守するためにY原発再稼働が不可欠だ
世界各国で地球温暖化の影響と見られる異常気象が続いている。温室効果ガス排出量の削減は先進国・新興国を問わず世界各国の共通のテーマだと言っていいだろう。昨年末の国連気候変動枠組み条約第21回締結国会議(COP21)では2030年以降の地球温暖化対策の国際枠組みとなる「パリ協定」が採択され、11月4日には発効する。これによって産業革命前からの平均気温上昇を2度未満に抑えるため、各国は対策を策定して国連に提出し、5年ごとに見直す義務を負うことになる。
日本の排出量は3.7%で、世界6位。安倍内閣は10月11日に閣議決定。同日に国会提出。同月7日までの批准を目指すが、批准から30日が経過しないと、ルール作りの議論に正式には参加できないから、どうやら11月7日からの第22回会議(COP22)には間に合いそうもなく、蚊帳の外に置かれる事になりそうだ。日本が国連に提出した削減目標は2030年度に対2013度比でCO2排出量も26%減らすというもの。それには化石燃料への依存度を減らし、CO2を排出しない原発の活用が不可欠になる。
- 文・朝倉秀雄(あさくらひでお)
- ※ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中。