貧しさ故…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

WHOは同国における避妊具の普及率を69%としているが、筆者がインタビューした多くの男性のコンドーム着用率はなんと「ゼロ」であった。チュ記者のブログはこう続く。

「妊娠した場合には、女性が処置をするだけです。性病検査などはしないので、梅毒など、たくさんの性病が蔓延しています」

さらに深刻なのが、本来は恥じらいの多い北朝鮮の女性たちに、勇気をもたらす「覚せい剤」のまん延だ。ブログを続けて引用する。

「売春する女性の多くは、麻薬に酔った状態で道端に立ちます。『オルム(氷)』と呼ばれる麻薬(覚せい剤)は1グラム50元(約750円)程度で買えます。これを10回に分けて吸うんです。こうすることで、夜通し通りに立つことができるようになるだけでなく、見知らぬ男性の前での恥ずかしさも抑えることができるというのです」

「オルム」はメタンフェタミン、すなわちヒロポンのことだ。地域と品質によって異なるが、北朝鮮では1グラム(10回分)を50元から120元(1800円)で気軽に買うことができる。

北朝鮮で売春が、職を持てない女性の主要な収入源になっていることは、これまで本誌を通じ何度も述べてきた。女子大生から主婦まで、商売をする元手が無い者にとっては、唯一とも言える生計手段として完全に社会に根付いている。

だが、女性たちを待ち受けているのは「破滅」である。北朝鮮には麻薬中毒患者のための施設などなく、自慢の「社会主義無償医療システム」も、薬品はすべて市場で自前に入手しなければならないという、看板倒れに過ぎないのが実態だ。性病か薬物中毒で倒れれば、現金収入が絶たれ、死ぬしかない。

あらゆるセーフティネットのない社会、北朝鮮で、今日も貧しい庶民の女性は道端に立ち、無防備にその体を差し出しているのである。

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