病魔と闘う荒ぶる役者たちの不屈秘話 「第3回・渡瀬恒彦」(3)アクションに代役は不要だ (2/2ページ)
こうした気遣いと、反骨のエネルギーが深作や中島貞夫ら多くの監督を魅了した。高田が続ける。
「僕のシナリオだと『実録外伝 大阪電撃作戦』(76年)の渡瀬が光ったね。大阪・明友会事件を明友会側から描き、主演の松方弘樹に対し、筋を通すという部分で内部対立する渡瀬の立ち位置がいい。もちろん、車に引きずられるシーンも、相変わらずノースタントで演じていたよ」
高田は、主演の渡瀬もいいが、大きな敵にぶつかっていく脇役の渡瀬にこそ真骨頂が見られ、さらに魅力的だと言う。それは、東映そのもののエネルギーを象徴していたからだ。
現在、渡瀬は手術をせず、放射線治療や抗ガン剤で回復を目指すと報じられた。何度も死線を乗り越えた野獣の魂に、復活の日は必ず訪れるはずだ──。